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「横雲」のやまとうた


by asitanokumo
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題詠マラソン2004

《2004年》
2004年会場(題詠マラソン2004)

2004/参加表明
2004-参加表明(横雲)
2003年のお題に続いて2004年のお題にトライしてみる。
004年の分は、「横雲」の名で詠むので旧仮名文語になりそうだ。
しかし、王朝風ではなく現代風の歌にしてみたいが、まだ、テーマも定められずにいる。やっぱり恋の歌が多くなりそうな気はする。二日で三首位のペースで進めてみたい。

2004-001:空(横雲)
新しきビル建ち上ぐる夏の空雲のはたてにこふる人あり
2004-002:安心(横雲)
安心(あんじん)の一日(ひとひ)だになく過ぎゆけばあはぬ昨日のなほ悔まれて
2004-003:運(横雲)
運不運玩ばれし生ゆゑになだめつつ羅の夏帯解きし
-6-25


2004-004:ぬくもり(横雲)
ぬくもりを残す布団に身を投げて耳に残れる声を聞く夜
2004-005:名前(横雲)
こゑにして君の名前を繰りかへし遠き昔を偲ぶ草吊る
2004-006:土(横雲)
行く末を待つ身の老ゆも厭離穢土まよふ心の暗きに入りぬ
-6-27

甲斐なく老いて
2004-007:数学(横雲)
西鶴の昼夜にわたる大矢数学ぶかひなく老いさらばへし
2004-008:姫(横雲)
安らけく息する姫をかたはらに抱きて眠る夜の静けさよ
2004-009:圏外(横雲)
暴風圏外るもいまだ風止まず身に染むほどに秋は哀しき
-6-29

雨止みて
2004-010:チーズ(横雲)
初めての二人の朝(あした)チーズ切る光まぶしくよろこび満つる
2004-011:犬(横雲)
雨止みて拒む老犬誘ひたり夏草茂る夢の名残りに
2004-012:裸足(横雲)
ルンルンと裸足で歩くシーサイド長スカートの裾たくしあぐ
-7-01

酔はましや
2004-013:彩(横雲)
酔はましやそぞろに歩き二人して彩絵(だみえ)の壁に寄り添へる夕
2004-014:オルゴール(横雲)
手回しの音の欠けたるオルゴール恋の名残りの捨てられぬ歌
2004-015:蜜柑(横雲)
湯の小屋の青き香強き青蜜柑淋しき色に爪立ててみる
-7-03

艶姿
-2004-016:乱(横雲)
乱鴬の声に艶あり啼き交す渓の湯宿に夜明けのひかり
2004-017:免許(横雲)
この恋に未練残すか冷艶な切捨御免許せずにゐて
2004-018:ロビー(横雲)
湯の宿の朝のロビーに待合せ艶な姿にルンルン気分 
-7-05

七夕の空
2004-019:沸(横雲)
沸々と湧きたつ思ひ持て余しひとり見あぐる七夕の空
2004-020:遊(横雲)
花散らし戯れ遊ぶ風になりすさぶ思ひを解き放ちたり
2004-021:胃(横雲)
胸に落ち胃の腑に落ちし言の葉を君が誠と疑はざりき
-7-07

つれなき色
004-022:上野(横雲)
髪濡らす上野の山の青時雨つれなき色に刻を染めゆく
2004-023:望(横雲)
花栗の香に包まるる小望月その暁のちぎりいたみぬ
2004-024:ミニ(横雲)
偽りのフェミニストめくふるまひを君は嫌ひて背に拒みたり
-7-09

悦び
2004-025:怪談(横雲)
たそがれに怪談を聞く女生徒の眼(まなこ)に光る悦びの色
2004-026:芝(横雲)
寝ころぶや夏芝蒸れて呼ぶ汗の耳の後ろを這い落ちてゆく
2004-027:天国(横雲)
天国へ行けぬあはれをよそに聞き頼れる力なきをかなしむ
-7-11


夏祭
2004-028:着(横雲)
浴衣着て村の祭りに急ぎつつ川瀬にまじる笛の音聞く
2004-029:太鼓(横雲)
村の灯へ誘ふ祭の遠太鼓湯宿の窓に夕闇迫る
2004-030:捨て台詞(横雲)
捨て台詞吐きて立ち去る男には祭囃子の寂しくきこゆ
-7-13

どくだみ
2004-031:肌(横雲)
肌脱ぎの肩の紫蓮に蝶舞はせ思ひのままに君は旅立つ
2004-032:薬(横雲)
十薬の花群れ盛る島の道罪まぬがるや十字の白き
2004-033:半(横雲)
初夏の白き肌見せ半化粧半信半疑裏切りの時 
-7-15


2004-034:ゴンドラ(横雲)
空中へゆらりゴンドラすべり出で眼下に青き山河広がる
2004-035:二重(横雲)
二重三重やがて八重咲き八重に散り夏の夜空に思ひを残す
2004-036:流(横雲)
君見ずや願ひ一すじ流れ星たちまち消えて空の清艶
-7-17

盛りを過ぎて
2004-037:愛嬌(横雲)
愛嬌の振り撒かるるも夏空に盛り過ぎたる花萎れける
2004-038:連(横雲)
連れ添ひて辿れる道にある轍途切るる時の闇恐れけり
2004-039:モザイク(横雲)
本心をぼかすモザイク消せぬまま便り間遠になりしこのごろ
-7-19

昔日
2004-040:ねずみ(横雲)
次々とねずみ花火の音爆ぜてやがて静謐満天の星
2004-041:血(横雲)
夜の灯にたぎる血潮を厭ひつつ彷徨ひし日の懐かしきかな
2004-042:映画(横雲)
君と見し古き映画に若き日を偲ぶ宵なり我は老いたり
-7-21

風の象(かたち)
2004-043:濃(横雲)
みどり濃き七月の山越え来たる風の象(かたち)を草原に見る
2004-044:ダンス(横雲)
しなつくる鶴のダンスに倣ひてや笑顔の君はスカート広ぐ
2004-045:家元(横雲)
ひつそりと夜のにほひの一軒家元(もと)も子もなき恋の終焉
-7-23

緑陰に
2004-046:練(横雲)
糸持ちて練羊羹を切る指の指輪に宿る光りの赤し
2004-047:機械(横雲)
動かざる機械の透ける古時計何の形見を留め置きける
2004-048:熱(横雲)
火の山の匂ひ濃き日の緑陰に熱纏ひたる身を憩ひけり
-7-25

よろよろと老ゆ
2004-049:潮騒(横雲)
人待ちて遠く潮騒聞く宿の湯殿の窓は夏のおぼろ夜
2004-050:おんな(横雲)
溺れたる酒とおんなを断ちしかど地に足つかずよろよろと老ゆ
2004-051:痛(横雲)
向きあふて触れし痛みの忘られずその面影にねこそなきそふ
-7-27

あらたなる嘘
2004-052:部屋(横雲)
うつくしき蛍火ひとつあらたなる嘘育ちゆく部屋に灯れる
2004-053:墨(横雲)
細く濃く眉墨引ける指白し逢魔が時に遠きいかづち
2004-054:リスク(横雲)
逢ふほどにリスクの増せど短夜のいのちなりけり人ぞ恋しき
-7-29

青春の形見
2004-055:日記(横雲)
半世紀前の古びし青春の形見とぞなる交換日記
2004-056:磨(横雲)
よるよるは須磨の浦波恨みつつ思ふ方より吹く風待てり
2004-057:表情(横雲)
別れしな表情硬く紅引きて声こらへつつ君は泪す
-7-31


うらみてもなほ
2004-058:八(横雲)
八朔の節句たのみにできぬまま昨日の嘘を猶おしむかな
2004-059:矛盾(横雲)
いくつもの矛盾抱へて過ごす世をうらみても猶たのみにぞせむ
2004-060:とかげ(横雲)
尾の切れし青とかげ這ふ石の上真昼の影の濃きを走らす
-8-02

蝉のしぐるる
2004-061:高台(横雲)
秋ちかき蝉のしぐるる高台寺うすき衣のねにぬるるかな
2004-062:胸元(横雲)
涼風を待つ胸元に滑る汗山下陰に蝉のしぐれて
2004-063:雷(横雲)
湯にひたり聞く遠雷のひとしきりやがて夕焼け蝉のしぐるる
-8-04

時の形見
2004-064:イニシャル(横雲)
ハンカチの君のイニシャルの色褪すを過ぎ来し時の形見とぞする
2004-065:水色(横雲)
水色のロングスカート靡かせて浜辺を走る君が眩しく
2004-066:鋼(横雲)
我になほ鋼のごとく鍛えたる心のあらば寂しさ耐ふも
-8-06

追憶
2004-067:ビデオ(横雲)
旧式のビデオカメラに映り込む手を振る君と散る花びらと
2004-068:傘(横雲)
さしかける傘に桜のちりかかり相寄る影を濡らす追憶
2004-069:奴隷(横雲)
睦びても奴隷のごとく黙しゐる目の恐ろしき女ありけり
-8-08

うたかたの影
2004-070:にせもの(横雲)
たれゆゑにみだれそめたる恋ならむ酔ひてむなしやにせものがたり
2004-071:追(横雲)
次々に追ひくる波に身を任せかかるうきめのうくをうらみぬ
2004-072:海老(横雲)
汐に飛ぶ海老の光か夏の恋波間にやどるうたかたの影
-8-10

初秋
2004-073:廊(横雲)
初秋の画廊に一人佇めばふりぬる身にぞあはれのしらる
2004-074:キリン(横雲)
雲の峰崩れて秋のキリン草村の娘の手に摘まれけり
2004-075:あさがお(横雲)
あさがほの萎れし夕べぬるき風身をつくしてや思ひ侘びぬる
-8-12


旅のかたち
2004-076:降(横雲)
吹き降りを避けて佇む大樹下洗ひしごとく髪とき放ちたり
2004-077:坩堝(横雲)
狂ほしき坩堝に溶けし我が想ひ旅の像(かたち)となるぞ嬉しき
2004-078:洋(横雲)
湯の宿の和洋混じりし料理食み象(かたち)となれる旅を楽しむ
-8-14

手術痕
2004-079:整形(横雲)
手術後の美容整形せし胸に雫となりて汗の流るる
2004-080:縫い目(横雲)
陽に晒す腹部に残る縫ひ目痕消えぬ思ひはいづくに隠る
2004-081:イラク(横雲)
夏の野のイラクサの棘チクチクと古き痛みの肌に浮き出づ
-8-16

夢醒むるも
2004-082:軟(横雲)
軟かき木の芽に見たる春の夢醒むるも枯れし枝をたのみとす
2004-083:皮(横雲)
なにくれと叶はぬ恋の皮算用戯(たはぶ)れ言の文の溜まりぬ
2004-084:抱き枕(横雲)
抱き枕いだけど夢の虚しくて戯れの身は置きどころなし
-8-18

遠き歓声
2004-085:再会(横雲)
再会の駅の北口たぎる身に潜む痛みと朝の賑ひ
2004-086:チョーク(横雲)
色チョーク重ねて描く夏模様空き教室に遠き歓声
2004-087:混沌(横雲)
敷島の混沌の闇深まりて現し世はなほ生き難きかな
-8-20


秋の風
2004-088:句(横雲)
秋草に埋もる句碑に月影の淡き宵なり風の涼しき
2004-089:歩(横雲)
二歩三歩過ぎて気づける野仏に蝶のとまりてはつか傾く
2004-090:木琴(横雲)
秋の風呼ぶ木琴の響きありたなびく雲に何をたのめる
-8-22

夢の痕
2004-091:埋(横雲)
遠き日の胸の埋火かき出だしはかなき夢の痕を痛みぬ
2004-092:家族(横雲)
夜深み四人家族のそれぞれの部屋に孤独の枕のありて
2004-093:列(横雲)
夕焼けの終の光に立ち尽くし列なす蟻の乱れ見詰むる
-8-24


遠き思ひ出
2004-094:遠(横雲)
寄り添ひて窓辺に聞ける遠花火浴衣の君は遠き思ひ出
2004-095:油(横雲)
君の住む街への道は油照り乗り継ぎわろきバスの遅るる
2004-096:類(横雲)
生類を憐れみ食す夏の夜の生臭き息美しく吐く
-8-26

過ぎ来しを
2004-097:曖昧(横雲)
曖昧な答え重ねて過ぎ来しを悔なき我と眠りむさぼる
2004-098:溺(横雲)
濁りなき稚児の瞳に恥ぢ入りてなれに溺るる身を糾すかな
2004-099:絶唱(横雲)
咲き誇る花の絶唱山に充つかの日の春の然は来ざるも
-8-28

百首
2004-100:ネット(横雲)
たが為に歌ひあげしやこの百首言の葉散りて甘きソネット

2004-完走報告(横雲)
「題詠100」の企画は、2003年から始まっていましたが、私がこの企画を知って参加したのは歌を詠み始めて間もなくの2011年からでした。
2018年の100題が詠み終わった後、この4月からは日々のブログ更新がままならないこともあって、未参加の2003年のお題からぼちぼち詠み進めることにしました。
2003年のお題に続いて、2004年のお題100題もなんとか詠み終えました。
これで「題詠」を10年分・1000余首詠んだことになります。
-8-30
by asitanokumo | 2018-08-30 05:59 | 題詠まとめ