「八慧(やゑ)」の名で詠んだ「題詠100★2016」
2016年 11月 05日
百首まとめました。
001:地 共に行く道は何処まで老いてなお地獄極楽見るが人の世
002:欠 不真面目な欠伸(あくび)が今はふさわしい呪いの杜に神の不在を
003:超 惚け茄子と醜さ知らず限界を超えて傾く明日(あした)を足蹴(あしげ)
004:相当 被曝量致死相当の推定に命いとしと祈り続けて
005:移 春浅い窓に寄り添い移りゆく時を嘆いて「世はこともあり」
006:及 想像の及ばぬ果に来りしと七十年の終焉を見る
007:厳 厳冬を越えれば春が来るはずも凍ったままの予感に震える
008:製 寄り添って二人座れば春の日にゆるゆる軋む木製の椅子
009:たまたま 恋のうたまたまつく尾を泥中に曳いて吟じる亀の極楽
010:容 春容を慕いて啼くは容佳鳥(かおよどり)君の声こそ今はききたく
011:平 恋いしくて彷徨い巡る平城山(ならやま)の悲しい歌を君に聞かせる
012:卑 漏れてくる声が卑猥な遅出しの老猫の恋歌垣の夢
013:伏 虹色の伏せ字を起こしそして春 伏目がちなるひといつくしむ
014:タワー 祝宴の夢にわれらは若くしてシャンパンタワー添いて見上げる
015:盲 有り難い盲亀浮木の出会いでも穴を求めて亀はかなしむ
016:察 水色の診察室のディスプレー水草分けて鱗がひかる
017:誤解 狂乱の時代の錯誤解きほぐす正気が戻る朝はもうない
018:荷 ほんのりと薄荷が香り若い日の口づけの味思い出す朝
019:幅 春うらら飛び越えられない川幅にふたり手を取り朝の陽浴びる
020:含 握る手にうふっと含み笑う声今キスしたいと誘う川端
021:ハート 並んでるハートマークが嬉しくてふたりで越える百里の隔て
022:御 春が来て制御できない想い湧きスカートふわりひるがえす君
023:肘 語りたいことはあるのに見つめ合い片肘ついて煙草吸ってる
024:田舎 啜り合う田舎汁粉は身を焦がす花見の茶屋に夕焼けを呼ぶ
025:膨 老いる身も花咲く春の日の夢を膨らませつつ一日(ひとひ)千秋
026:向 小春日は二人並んで日向ぼこ絡ませた手に猫がじゃれつく
027:どうして 待っていて今夜のうちにどうしてもピンクのバラを届けたいから
028:脈 春の旅二人で眺める湖の悦びの跡光ってる水脈(みお)
029:公 テラスから眺める初夏の外苑の公孫樹並木に風が流れて
030:失恋 のめり込み茫然自失恋の闇迷宮の中道に外れて
031:防 けだるきも夜の防ぎのガウン着てタバコ燻らす時の恍惚
032:村 茶の里の又一村に立ち寄って恋の味する抹茶を啜る
033:イスラム トップレス二人で泳ぐメキシコのイスラムヘーレス透明な海
034:召 制服にお召替えしたお姫様幼稚園には桜満開
035:貰 貰い泣きするひとがいてそのままに閉ざされていく桜咲く路
036:味噌 抜き差しの胡麻味噌ずいの指遊びお茶碗割れてトッピンシャン
037:飽 飽かなくに影は隠れて見えぬまま時移ろいてやがて花散る
038:宇 霧深き宇治の恋読む春の宵去りゆく影が朧ろにとける
039:迎 お迎えの来る日も近いと思うから笑顔ばかりが鮮やかな朝
040:咳 近づくも咳払いして知らん顔連れている人いったいだぁれ
041:ものさし 笑絵は江戸の好きものさしおいてたかぶる猫の恋を見詰める
042:臨 臨津江飛びかう鳥を羨めり縺れる綾はいつの日ほぐる
043:麦 一粒の麦の実りを祈りつつ一人の子ども一本のペン
044:欺 欺きを許せるぬものと怒れども甘えた笑顔に月おぼろなり
045:フィギュア フィギュアの削る氷の輝きの音に合わせて靡くフレアー
046:才 春の日のショーウィンドーが映し出す才子佳人に見惚れ寄り添う
047:軍 手に持てる桜ひと枝花軍(はないくさ)灯しにあかき君のかんばせ
048:事情 だめ押しのつれない返事情けなく夜沈沈と涙にくれる
049:振 待ち疲れ振りさけ見ると咲き誇る花におぼろの月がでいいる
050:凸 解く髪と胸の凸起の透く影が夏の海辺の窓に揺らいだ
051:旨 旨酒の魅惑に溺れ夜が明けてほてる肌(はだえ)に花影揺れる
052:せんべい いかんせんべい独楽弾く夏の日のもう戻れない苦い思いを
053:波 ひとり寝て乱れる胸が波の穂のしぶきに濡れた夏が悲しい
054:暴 猛り立つ暴れん坊を慰めて見つめる頬に涙ひとすじ
055:心臓 再会に動きはじめた心臓が止まったままの時を求める
056:蓄 記された含蓄多い歌読んで悶々春のひとひが過ぎる
057:狼 「もうやめる」不意の言葉に狼狽(うろた) える何をやめればいいのか我は
058:囚 つぶやいた君の言葉に囚われて進めないまま茫然自失
059:ケース ショーケース二人並んで眺めては迷い迷いの未来を探す
060:菊 枯菊を焚くとほのかな香が流れあなたのいない季節(とき)が過ぎさる
061:版 回数も期間も越えて体験版使用不能に陥った恋
062:歴 過ぎた日の着信履歴見返して削除をいくつ繰り返す夏
063:律 君は病む我の心の調律師それでも治らぬ怪しい呂律
064:あんな 世の中に恋てふもののあんなるにあんなことして過ごす一日
065:均 均等に配分される愛なんて悲しいだけと独占の欲
066:瓦 巡りきた赤い煉瓦の水路閣手をとりくぐる幻月の宵
067:挫 折節の飾り気のないメール見て挫けた気持ち奮い立たせる
068:国歌 亡びたる国歌うたえと強いられてひたすら噤む唇痛い
京の旅阿国歌舞伎の屏風絵を君を待ちつつ眺めゐたりき
069:枕 枕絵を見せて誘えば逃げもせず素知らぬ顔で握り返す手
070:凝 目を凝らし見つめる振りのあぶな絵にふたりの想い重なっていく
071:尻 悲しくも尻切れ蜻蛉になるメール夜更けに一人つぶやいてみる
072:還 アラ還という人々が群れなして鞍馬天狗も尻込みをする
073:なるほど その仲が深くなるほど夕暮は逢瀬の影を優しくつつむ
074:弦 横たわるベットサイドに流れてる弦楽小夜曲甘く切ない
075:肝 老いた身も土用の昼の肝吸いにやがて哀しく気をみなぎらす
076:虜 魅せられて君の虜になった日が七月六日と言う人がいて
077:フリー フリーズの対処としては唇の長押しによる強制開始
078:旗 入日さす豊旗雲の緋の色に心もえよと染められている
079:釈 毎日が何にもなくて過ぎていく会釈こぼして逢うはいつの日
080:大根 土落とす二股大根色っぽくその身を我は密かに撫でる
081:臍 願わくば臍の下には知恵ないと気まま勝手を笑って許せ
082:棺 片足を入れた棺桶抜け出して最後の恋は死に物狂い
083:笠 涙ふき合羽からげた三度笠見送る影に未練が残る
084:剃 剃り跡に滑らす指がしなやかでやがて開いて濡れる唇
085:つまり 君が住む郷の垣内(かきつ)は幸多く水清くして魚(いを)あつまりぬ
086:坊 逞しい暴れん坊が大好きと甘えん坊がいやいやをする
087:監 臍下の監督責任問う人の拗ねてる声が胸に甘える
088:宿 宿帳に妻と記すを覗き見て君はすましてつんつん突く
089:潮 風孕み八重の潮路をゆくような夢を抱いて君に会いたい
090:マジック 密やかにマジックミラー越しに見る君の半裸はとても艶やか
091:盤 手を取れば切羽詰った盤面を好転させる一手が見える
092:非 苦しくも君との恋は非公開秘かなゆえの堅い契約
093:拍 競詠の百首に込める恋心成就目指して拍車をかける
094:操 真直ぐの思いの丈を確かめて操つりつられの道を一筋
095:生涯 生涯の最後の恋と誓っても君の移り気やはり心配
096:樽 にっこりと小さな角樽ぶら下げて祝いの刻(とき)に君が現る
097:停 危ないと停(とど)める言葉振り切って踏み入る道に光あふれる
098:覆 目を覆い手の感触に委ねてる声が愛しい夜もあったね
099:品 大切な遺品にすると仕舞われて埃をかぶる老いらくの恋
100:扉 逢坂の関の扉(せきのと)越えむ狂い咲く妖しい色の歌を連ねて
完走報告 ようやくに百首完走しましたと報告できる喜びのとき
002:欠 不真面目な欠伸(あくび)が今はふさわしい呪いの杜に神の不在を
003:超 惚け茄子と醜さ知らず限界を超えて傾く明日(あした)を足蹴(あしげ)
004:相当 被曝量致死相当の推定に命いとしと祈り続けて
005:移 春浅い窓に寄り添い移りゆく時を嘆いて「世はこともあり」
006:及 想像の及ばぬ果に来りしと七十年の終焉を見る
007:厳 厳冬を越えれば春が来るはずも凍ったままの予感に震える
008:製 寄り添って二人座れば春の日にゆるゆる軋む木製の椅子
009:たまたま 恋のうたまたまつく尾を泥中に曳いて吟じる亀の極楽
010:容 春容を慕いて啼くは容佳鳥(かおよどり)君の声こそ今はききたく
012:卑 漏れてくる声が卑猥な遅出しの老猫の恋歌垣の夢
013:伏 虹色の伏せ字を起こしそして春 伏目がちなるひといつくしむ
014:タワー 祝宴の夢にわれらは若くしてシャンパンタワー添いて見上げる
015:盲 有り難い盲亀浮木の出会いでも穴を求めて亀はかなしむ
016:察 水色の診察室のディスプレー水草分けて鱗がひかる
017:誤解 狂乱の時代の錯誤解きほぐす正気が戻る朝はもうない
018:荷 ほんのりと薄荷が香り若い日の口づけの味思い出す朝
019:幅 春うらら飛び越えられない川幅にふたり手を取り朝の陽浴びる
020:含 握る手にうふっと含み笑う声今キスしたいと誘う川端
022:御 春が来て制御できない想い湧きスカートふわりひるがえす君
023:肘 語りたいことはあるのに見つめ合い片肘ついて煙草吸ってる
024:田舎 啜り合う田舎汁粉は身を焦がす花見の茶屋に夕焼けを呼ぶ
025:膨 老いる身も花咲く春の日の夢を膨らませつつ一日(ひとひ)千秋
026:向 小春日は二人並んで日向ぼこ絡ませた手に猫がじゃれつく
027:どうして 待っていて今夜のうちにどうしてもピンクのバラを届けたいから
028:脈 春の旅二人で眺める湖の悦びの跡光ってる水脈(みお)
029:公 テラスから眺める初夏の外苑の公孫樹並木に風が流れて
030:失恋 のめり込み茫然自失恋の闇迷宮の中道に外れて
031:防 けだるきも夜の防ぎのガウン着てタバコ燻らす時の恍惚
032:村 茶の里の又一村に立ち寄って恋の味する抹茶を啜る
033:イスラム トップレス二人で泳ぐメキシコのイスラムヘーレス透明な海
034:召 制服にお召替えしたお姫様幼稚園には桜満開
035:貰 貰い泣きするひとがいてそのままに閉ざされていく桜咲く路
036:味噌 抜き差しの胡麻味噌ずいの指遊びお茶碗割れてトッピンシャン
037:飽 飽かなくに影は隠れて見えぬまま時移ろいてやがて花散る
038:宇 霧深き宇治の恋読む春の宵去りゆく影が朧ろにとける
039:迎 お迎えの来る日も近いと思うから笑顔ばかりが鮮やかな朝
040:咳 近づくも咳払いして知らん顔連れている人いったいだぁれ
042:臨 臨津江飛びかう鳥を羨めり縺れる綾はいつの日ほぐる
043:麦 一粒の麦の実りを祈りつつ一人の子ども一本のペン
044:欺 欺きを許せるぬものと怒れども甘えた笑顔に月おぼろなり
045:フィギュア フィギュアの削る氷の輝きの音に合わせて靡くフレアー
046:才 春の日のショーウィンドーが映し出す才子佳人に見惚れ寄り添う
047:軍 手に持てる桜ひと枝花軍(はないくさ)灯しにあかき君のかんばせ
048:事情 だめ押しのつれない返事情けなく夜沈沈と涙にくれる
049:振 待ち疲れ振りさけ見ると咲き誇る花におぼろの月がでいいる
050:凸 解く髪と胸の凸起の透く影が夏の海辺の窓に揺らいだ
052:せんべい いかんせんべい独楽弾く夏の日のもう戻れない苦い思いを
053:波 ひとり寝て乱れる胸が波の穂のしぶきに濡れた夏が悲しい
054:暴 猛り立つ暴れん坊を慰めて見つめる頬に涙ひとすじ
055:心臓 再会に動きはじめた心臓が止まったままの時を求める
056:蓄 記された含蓄多い歌読んで悶々春のひとひが過ぎる
057:狼 「もうやめる」不意の言葉に狼狽(うろた) える何をやめればいいのか我は
058:囚 つぶやいた君の言葉に囚われて進めないまま茫然自失
059:ケース ショーケース二人並んで眺めては迷い迷いの未来を探す
060:菊 枯菊を焚くとほのかな香が流れあなたのいない季節(とき)が過ぎさる
062:歴 過ぎた日の着信履歴見返して削除をいくつ繰り返す夏
063:律 君は病む我の心の調律師それでも治らぬ怪しい呂律
064:あんな 世の中に恋てふもののあんなるにあんなことして過ごす一日
065:均 均等に配分される愛なんて悲しいだけと独占の欲
066:瓦 巡りきた赤い煉瓦の水路閣手をとりくぐる幻月の宵
067:挫 折節の飾り気のないメール見て挫けた気持ち奮い立たせる
068:国歌 亡びたる国歌うたえと強いられてひたすら噤む唇痛い
京の旅阿国歌舞伎の屏風絵を君を待ちつつ眺めゐたりき
069:枕 枕絵を見せて誘えば逃げもせず素知らぬ顔で握り返す手
070:凝 目を凝らし見つめる振りのあぶな絵にふたりの想い重なっていく
072:還 アラ還という人々が群れなして鞍馬天狗も尻込みをする
073:なるほど その仲が深くなるほど夕暮は逢瀬の影を優しくつつむ
074:弦 横たわるベットサイドに流れてる弦楽小夜曲甘く切ない
075:肝 老いた身も土用の昼の肝吸いにやがて哀しく気をみなぎらす
076:虜 魅せられて君の虜になった日が七月六日と言う人がいて
077:フリー フリーズの対処としては唇の長押しによる強制開始
078:旗 入日さす豊旗雲の緋の色に心もえよと染められている
079:釈 毎日が何にもなくて過ぎていく会釈こぼして逢うはいつの日
080:大根 土落とす二股大根色っぽくその身を我は密かに撫でる
082:棺 片足を入れた棺桶抜け出して最後の恋は死に物狂い
083:笠 涙ふき合羽からげた三度笠見送る影に未練が残る
084:剃 剃り跡に滑らす指がしなやかでやがて開いて濡れる唇
085:つまり 君が住む郷の垣内(かきつ)は幸多く水清くして魚(いを)あつまりぬ
086:坊 逞しい暴れん坊が大好きと甘えん坊がいやいやをする
087:監 臍下の監督責任問う人の拗ねてる声が胸に甘える
088:宿 宿帳に妻と記すを覗き見て君はすましてつんつん突く
089:潮 風孕み八重の潮路をゆくような夢を抱いて君に会いたい
090:マジック 密やかにマジックミラー越しに見る君の半裸はとても艶やか
092:非 苦しくも君との恋は非公開秘かなゆえの堅い契約
093:拍 競詠の百首に込める恋心成就目指して拍車をかける
094:操 真直ぐの思いの丈を確かめて操つりつられの道を一筋
095:生涯 生涯の最後の恋と誓っても君の移り気やはり心配
096:樽 にっこりと小さな角樽ぶら下げて祝いの刻(とき)に君が現る
097:停 危ないと停(とど)める言葉振り切って踏み入る道に光あふれる
098:覆 目を覆い手の感触に委ねてる声が愛しい夜もあったね
099:品 大切な遺品にすると仕舞われて埃をかぶる老いらくの恋
100:扉 逢坂の関の扉(せきのと)越えむ狂い咲く妖しい色の歌を連ねて
by asitanokumo
| 2016-11-05 17:09
| 題詠まとめ