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「横雲」のやまとうた


by asitanokumo
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「題詠blog」2013 まとめ

001:新 いとほしいや新肌(にいはだ)触れし春の夜は十年(ととせ)を過ぎて更に色濃し
002:甘 添ひ臥して耳に残れる甘噛みの疼ける夜は眠らずにをり
003:各 各々の願ひ交はせる夜のあればのどやかにして空の明け行く
004:やがて 過ぎゆける十年(ととせ)を偲び睦み合ひやがてながめし明けの空かな
005:叫 空高く叫(ひめ)く鳥飛び明け行けばやがて悲しきいとま告ぐ時
006:券 君のいる街への定期乗車券残る日数の虚しくなりぬ
007:別 葦の根の別けても人の恋しきに身をつくしてやひとよに濡るる
008:瞬 瞬(しばたた)く瞼に隠す哀しみを気づかぬままに見送りしかな
009:テーブル テーブルに頬杖を突き眺めいる君の姿のなほいとほしき
010:賞 梓弓いるさの山の月影にほの見ゆ君の媚(こ)ぶる色賞(め)づ

011:習 来む春を待つや初音の囀るも習はすべくにかひなかるらむ
012:わずか 深き沼(ぬ)に入る影わづか春霞おぼろけならぬ契りと思へど
013:極 ねに鳴ける梅の極枝(はつえ)の鶯(うぐひす)のなかぬ日あるを君は知らじな
014:更 春の夜の更けてはかなき夢追へば叶ひしことやうつつならなむ
015:吐 塞き敢ふも吐(たぐ)れる想ひ歌にして叶ふる恋におどろかれぬる
016:仕事 年強仕(きょうし)事麗しく生きし日に君に出会ひて蹌踉(よろぼ)ひたりき
017:彼 あしひきの山の彼方に去りゆけど通ふ心はひとつなりけり
018:闘 恋の闇迷ふ心の闘ひて明けぬる空に残りたる月
019:同じ 春の月同じ想ひに眺めかし朧に濡れて雲崩れたり
020:嘆 嘆けとて色香を散らす桜かな帰らぬひとの涙ならむや

021:仲 一人舞う静御前や仲の春眉を払ひし君を懐(おも)へり
022:梨 目覚むれば涙に濡るる梨花一枝開くる帳(とばり)に面影ぞ立つ
023:不思議 合ふも不思議合はぬも不思議夢頼むあしたの床ぞおきうかりける
024:妙 敷妙の手枕(たまくら)恋ひてひとりねの夢の名残をさだめかねつも
025:滅 夜深み灯(ともし)滅(き)ゆるも暗きまま燃ゆる心ぞむなしく滾(たぎ)る
026:期 言ひ期(き)せし言の葉守(も)りて鎮めかし消えぬべき身を闇にうづめり
027:コメント 汝(な)が真似に銜えしタバコメントール咽(む)せしは苦き涙ならずや
028:幾 揺らぎつつ幾(ほとほ)としくも溺るがに離(か)れたる君の行くへ探れり
029:逃 春の野に追へる逃げ水はかなくもいかでもらさむなみだの袖に
030:財 魂の緒の玉に勝れる財(たから)とて乱れ緒解かば君還り来む

031:はずれ 初夏(はつなつ)のはずれ(葉擦れ)の音の子守唄隠れし月の影やかそけし
032:猛 逢はざれば猛り立つ身のいかにせむ子守唄とてやすらふものぞ
033:夏 夏雲の猛れる峰の奇(あや)にこそけふは恋しき人の面影
034:勢 はしけやし羽刺に託す勢子船の漕ぎて銛(もり)打つ気の昂ぶりて
035:後悔 寝(いね)し後悔し泣きする宵重ぬ憧れし日は嘆き無かりし 
036:少 うらみても少女(をとめ)の心みてしがな葛の葉陰に物をこそ思へ
037:恨 葛の葉の恨みの風にかへる日やいひしにかなふおもて嬉しき
038:イエス イエスともノーとも知らず憂きものは身を心ともせぬ世なりけり
039:銃 わが前に立て銃(つつ)の礼謹しみて心も身をも謝らせたし
040:誇 玉の緒のよるはたえせす誇りかにわが前に立つ君を待ちゐる 

041:カステラ 秘密裏に二人で分かつカステラを罪と判りてなお愛(いと)ほしき 
042:若 若干(そこばく)の罪を重ねしよの苦くとにもかくにも想ひ捨つべし
043:慣 眠れない夜は涙を滲ませてそっと撫でてる慣れたる記憶
044:日本 雲のなき日本アルプス登り行くロープウエイは青空に融く
045:喋 枕上(まくらべ)に喋喋喃喃秘かなり夢路にふける山旅の宿
046:間 見し夢に間(あい)の楔びの堅かれと飛騨の匠に恃めしものを

047:繋 飛騨の里繋ぎとめたく掌(て)を合はせ更け行く夜を惜しみたるかな
048:アルプス アルプスの父と呼ばるるウェストンの眼に賑わえる山の初夏(はつなつ)
049:括 寄り添ひし腰の括(くび)れに手をやりて萌ゆる緑を花を愛でたり
050:互 返り花互(かたみ)に見詰む眼の奥の青葉にかなふ想ひ新たに

051:般 憤る般若(はんにゃ)の顔は見せまいと思へど辛き縁(えにし)の守り
052:ダブル バンザイの「さるぼぼ」抱きて涙してダブルネームの人を恨めり
053:受 雨衣受戻したき身のあればすがる心ぞやむは悩まし
054:商 ひとり身を商山に入る月夜かな共に見上ぐる契りもなしに
055:駄目 駄目のみの残るひとよを嘆かひて隠(こも)り恋ひつつなけるひぐらし 
056:善 善悪の報ひの影の随へば見上ぐる月の清(さやけ)けきも憂し
057:衰 歎くまに五衰の穢れ影増せり契れる袖の褪せにけるかな
058:秀 契りおくも真秀(まほ)の詞(ことば)とならざるに猶恋ひやまぬひぐらしのこゑ
059:永遠 永遠(とこしへ)に迷はむものか涙川わたる淵瀬のしるよしもがな
060:何 縒り掛けて恋ふれば苦し魂の緒の何処(いづこ)をはかと彷徨(さすら)ひぬべし

061:獣 踏み入りて闇に迷へる獣道忍ぶやいづこ花の匂へる
062:氏 氏神に赦し請ひたり涙川うくもそぼちてほしぞわづらふ 
063:以上 確かなる別るる所以上枯(うはが)れし忘れ草こそうつろひの花
064:刑 いかにして道なき恋に天刑の行方知るべき霧のうき橋
065:投 投げ返すせりふを知らず黙したり恥ぢらふ身には懲らしめの技
066:きれい 乱れつつせきれい(鶺䴇)叩く水の辺に心許なく空見上げたり
067:闇 かきくらす心の闇に墨染の袖ふる人のまぎれけるかな
068:兄弟 兄弟(はらから)は如かず妹背ぞ四方(よも)の海ただよひゆきて恋の散り果つ
069:視 糺(ただ)すごとひたと視る瞳(め)ぞ真愛(まかな)しき涙の責むる痴れる心に
070:柿 青鳥の怖るるなしに啄ばめば熟れし柿落つ秋の暮方

071:得意 若鮎の質(ただ)す心得意図透けて清き流れに洗はるるかな
072:産 背を向くや産毛の残るぼんのくぼ若きに動くこころ恐ろし
073:史 己(おの)が秘史語るも虚し若人は懺悔の弁に笑み返したり
074:ワルツ 死ぬ程に別れ辛いと「星影のワルツ」をうたうひとの幼し
075:良 ほころべる赤ら嬢子(おとめ)を誘(いざ)なひて良らしや花の咲くを見まほし 
076:納 うそばっか清少納言にあらざればしたり顔にも花は咲くまじ
077:うっすら うっすらと笑みこぼしつつ手厳しき応(いら)へも嬉し花の咲きなば
078:師 梓弓入さの山に師の君と手遊びのわざ夜ぞ更けゆくに
079:悪 悪しき道誘(いざな)ひかくる小夜更けぬなが名を呼ぶや言ふ甲斐無くも
080:修 いかがせむ身の修まれる日のあるや迷ひ果なむはれぬ恋路を

081:自分 身を責めて自分探して彷徨ひぬ凍れる路の融くる日あるや
082:柔 山吹の止む時もなく柔肌を八重につつむも実を探りくる
083:霞 われがなほ折らまほしきは八重霞薄き衣になりし君はも
084:左 春風に寄り添ひ居れば夢に見つ左扇を歓べる日を
085:歯 お飾りの歯朶青々と艶あれど恨みのしろく重ぬべきかな
086:ぼんやり 二人してぼんやり過ごす年の明け寡婦めく母の老いゆくをみる 
087:餅 餅花の何華やぎて女正月ふるすばかりの音に鳴けるかな
088:弱 手弱女の恋ふる心の揺れにけり夢に見えつる君つれなくも
089:出口 夢といへ己が要らざる差し出口数ならぬ身は忘れ果つべし
090:唯 泡沫(うたかた)の唯(ただ)一途には非ざるも消えてはかなく離(か)るれば恋し 

091:鯨 逢えばまた鯨波寄せ来る如くして一夜限りの身をゆだぬかな
092:局 ひたすらに破局に向かふ心地せり逢ふは限りと夜ごと誓へど
093:ドア 女(め)の数多(あまた)ドアツードアの君なればそねむかひなく思ひねになく 
094:衆 吾もまた縁なき衆生(しゅじょう)と見捨つらるまつもかひなくふけゆけるかな 
095:例 浮き橋の間覚束なきは世の例(ためし)一夜限りと重ぬる夜も
096:季節 誓へども季節外れに咲く花を帰り狂ふといふも更なり
097:証 恨まれて証しを立つるうたかたのうき身ぞ哀しひとり泣かるる
098:濁 濁り江に澄むこと難(かた)き影ぬれてふりまさるらむ五月雨るる夜
099:文 曇り夜の恋路に惑ふ隠し文かつ恨みてぞうきになかるる
100:止 五月雨の止むも止まれぬ忍ぶ恋忘らるる身のよにふりぬべし


白睡蓮」に歌物語「浮橋」としてアップしています。
by asitanokumo | 2013-02-27 17:25 | 題詠まとめ