「横雲」のやまとうた


by asitanokumo
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題詠マラソン2004

《2004年》
2004年会場(題詠マラソン2004)

2004/参加表明
2004-参加表明(横雲)
2003年のお題に続いて2004年のお題にトライしてみる。
004年の分は、「横雲」の名で詠むので旧仮名文語になりそうだ。
しかし、王朝風ではなく現代風の歌にしてみたいが、まだ、テーマも定められずにいる。やっぱり恋の歌が多くなりそうな気はする。二日で三首位のペースで進めてみたい。

2004-001:空(横雲)
新しきビル建ち上ぐる夏の空雲のはたてにこふる人あり
2004-002:安心(横雲)
安心(あんじん)の一日(ひとひ)だになく過ぎゆけばあはぬ昨日のなほ悔まれて
2004-003:運(横雲)
運不運玩ばれし生ゆゑになだめつつ羅の夏帯解きし
-6-25


2004-004:ぬくもり(横雲)
ぬくもりを残す布団に身を投げて耳に残れる声を聞く夜
2004-005:名前(横雲)
こゑにして君の名前を繰りかへし遠き昔を偲ぶ草吊る
2004-006:土(横雲)
行く末を待つ身の老ゆも厭離穢土まよふ心の暗きに入りぬ
-6-27

甲斐なく老いて
2004-007:数学(横雲)
西鶴の昼夜にわたる大矢数学ぶかひなく老いさらばへし
2004-008:姫(横雲)
安らけく息する姫をかたはらに抱きて眠る夜の静けさよ
2004-009:圏外(横雲)
暴風圏外るもいまだ風止まず身に染むほどに秋は哀しき
-6-29

雨止みて
2004-010:チーズ(横雲)
初めての二人の朝(あした)チーズ切る光まぶしくよろこび満つる
2004-011:犬(横雲)
雨止みて拒む老犬誘ひたり夏草茂る夢の名残りに
2004-012:裸足(横雲)
ルンルンと裸足で歩くシーサイド長スカートの裾たくしあぐ
-7-01

酔はましや
2004-013:彩(横雲)
酔はましやそぞろに歩き二人して彩絵(だみえ)の壁に寄り添へる夕
2004-014:オルゴール(横雲)
手回しの音の欠けたるオルゴール恋の名残りの捨てられぬ歌
2004-015:蜜柑(横雲)
湯の小屋の青き香強き青蜜柑淋しき色に爪立ててみる
-7-03

艶姿
-2004-016:乱(横雲)
乱鴬の声に艶あり啼き交す渓の湯宿に夜明けのひかり
2004-017:免許(横雲)
この恋に未練残すか冷艶な切捨御免許せずにゐて
2004-018:ロビー(横雲)
湯の宿の朝のロビーに待合せ艶な姿にルンルン気分 
-7-05

七夕の空
2004-019:沸(横雲)
沸々と湧きたつ思ひ持て余しひとり見あぐる七夕の空
2004-020:遊(横雲)
花散らし戯れ遊ぶ風になりすさぶ思ひを解き放ちたり
2004-021:胃(横雲)
胸に落ち胃の腑に落ちし言の葉を君が誠と疑はざりき
-7-07

つれなき色
004-022:上野(横雲)
髪濡らす上野の山の青時雨つれなき色に刻を染めゆく
2004-023:望(横雲)
花栗の香に包まるる小望月その暁のちぎりいたみぬ
2004-024:ミニ(横雲)
偽りのフェミニストめくふるまひを君は嫌ひて背に拒みたり
-7-09

悦び
2004-025:怪談(横雲)
たそがれに怪談を聞く女生徒の眼(まなこ)に光る悦びの色
2004-026:芝(横雲)
寝ころぶや夏芝蒸れて呼ぶ汗の耳の後ろを這い落ちてゆく
2004-027:天国(横雲)
天国へ行けぬあはれをよそに聞き頼れる力なきをかなしむ
-7-11


夏祭
2004-028:着(横雲)
浴衣着て村の祭りに急ぎつつ川瀬にまじる笛の音聞く
2004-029:太鼓(横雲)
村の灯へ誘ふ祭の遠太鼓湯宿の窓に夕闇迫る
2004-030:捨て台詞(横雲)
捨て台詞吐きて立ち去る男には祭囃子の寂しくきこゆ
-7-13

どくだみ
2004-031:肌(横雲)
肌脱ぎの肩の紫蓮に蝶舞はせ思ひのままに君は旅立つ
2004-032:薬(横雲)
十薬の花群れ盛る島の道罪まぬがるや十字の白き
2004-033:半(横雲)
初夏の白き肌見せ半化粧半信半疑裏切りの時 
-7-15


2004-034:ゴンドラ(横雲)
空中へゆらりゴンドラすべり出で眼下に青き山河広がる
2004-035:二重(横雲)
二重三重やがて八重咲き八重に散り夏の夜空に思ひを残す
2004-036:流(横雲)
君見ずや願ひ一すじ流れ星たちまち消えて空の清艶
-7-17

盛りを過ぎて
2004-037:愛嬌(横雲)
愛嬌の振り撒かるるも夏空に盛り過ぎたる花萎れける
2004-038:連(横雲)
連れ添ひて辿れる道にある轍途切るる時の闇恐れけり
2004-039:モザイク(横雲)
本心をぼかすモザイク消せぬまま便り間遠になりしこのごろ
-7-19

昔日
2004-040:ねずみ(横雲)
次々とねずみ花火の音爆ぜてやがて静謐満天の星
2004-041:血(横雲)
夜の灯にたぎる血潮を厭ひつつ彷徨ひし日の懐かしきかな
2004-042:映画(横雲)
君と見し古き映画に若き日を偲ぶ宵なり我は老いたり
-7-21

風の象(かたち)
2004-043:濃(横雲)
みどり濃き七月の山越え来たる風の象(かたち)を草原に見る
2004-044:ダンス(横雲)
しなつくる鶴のダンスに倣ひてや笑顔の君はスカート広ぐ
2004-045:家元(横雲)
ひつそりと夜のにほひの一軒家元(もと)も子もなき恋の終焉
-7-23

緑陰に
2004-046:練(横雲)
糸持ちて練羊羹を切る指の指輪に宿る光りの赤し
2004-047:機械(横雲)
動かざる機械の透ける古時計何の形見を留め置きける
2004-048:熱(横雲)
火の山の匂ひ濃き日の緑陰に熱纏ひたる身を憩ひけり
-7-25

よろよろと老ゆ
2004-049:潮騒(横雲)
人待ちて遠く潮騒聞く宿の湯殿の窓は夏のおぼろ夜
2004-050:おんな(横雲)
溺れたる酒とおんなを断ちしかど地に足つかずよろよろと老ゆ
2004-051:痛(横雲)
向きあふて触れし痛みの忘られずその面影にねこそなきそふ
-7-27

あらたなる嘘
2004-052:部屋(横雲)
うつくしき蛍火ひとつあらたなる嘘育ちゆく部屋に灯れる
2004-053:墨(横雲)
細く濃く眉墨引ける指白し逢魔が時に遠きいかづち
2004-054:リスク(横雲)
逢ふほどにリスクの増せど短夜のいのちなりけり人ぞ恋しき
-7-29

青春の形見
2004-055:日記(横雲)
半世紀前の古びし青春の形見とぞなる交換日記
2004-056:磨(横雲)
よるよるは須磨の浦波恨みつつ思ふ方より吹く風待てり
2004-057:表情(横雲)
別れしな表情硬く紅引きて声こらへつつ君は泪す
-7-31


うらみてもなほ
2004-058:八(横雲)
八朔の節句たのみにできぬまま昨日の嘘を猶おしむかな
2004-059:矛盾(横雲)
いくつもの矛盾抱へて過ごす世をうらみても猶たのみにぞせむ
2004-060:とかげ(横雲)
尾の切れし青とかげ這ふ石の上真昼の影の濃きを走らす
-8-02

蝉のしぐるる
2004-061:高台(横雲)
秋ちかき蝉のしぐるる高台寺うすき衣のねにぬるるかな
2004-062:胸元(横雲)
涼風を待つ胸元に滑る汗山下陰に蝉のしぐれて
2004-063:雷(横雲)
湯にひたり聞く遠雷のひとしきりやがて夕焼け蝉のしぐるる
-8-04

時の形見
2004-064:イニシャル(横雲)
ハンカチの君のイニシャルの色褪すを過ぎ来し時の形見とぞする
2004-065:水色(横雲)
水色のロングスカート靡かせて浜辺を走る君が眩しく
2004-066:鋼(横雲)
我になほ鋼のごとく鍛えたる心のあらば寂しさ耐ふも
-8-06

追憶
2004-067:ビデオ(横雲)
旧式のビデオカメラに映り込む手を振る君と散る花びらと
2004-068:傘(横雲)
さしかける傘に桜のちりかかり相寄る影を濡らす追憶
2004-069:奴隷(横雲)
睦びても奴隷のごとく黙しゐる目の恐ろしき女ありけり
-8-08

うたかたの影
2004-070:にせもの(横雲)
たれゆゑにみだれそめたる恋ならむ酔ひてむなしやにせものがたり
2004-071:追(横雲)
次々に追ひくる波に身を任せかかるうきめのうくをうらみぬ
2004-072:海老(横雲)
汐に飛ぶ海老の光か夏の恋波間にやどるうたかたの影
-8-10

初秋
2004-073:廊(横雲)
初秋の画廊に一人佇めばふりぬる身にぞあはれのしらる
2004-074:キリン(横雲)
雲の峰崩れて秋のキリン草村の娘の手に摘まれけり
2004-075:あさがお(横雲)
あさがほの萎れし夕べぬるき風身をつくしてや思ひ侘びぬる
-8-12


旅のかたち
2004-076:降(横雲)
吹き降りを避けて佇む大樹下洗ひしごとく髪とき放ちたり
2004-077:坩堝(横雲)
狂ほしき坩堝に溶けし我が想ひ旅の像(かたち)となるぞ嬉しき
2004-078:洋(横雲)
湯の宿の和洋混じりし料理食み象(かたち)となれる旅を楽しむ
-8-14

手術痕
2004-079:整形(横雲)
手術後の美容整形せし胸に雫となりて汗の流るる
2004-080:縫い目(横雲)
陽に晒す腹部に残る縫ひ目痕消えぬ思ひはいづくに隠る
2004-081:イラク(横雲)
夏の野のイラクサの棘チクチクと古き痛みの肌に浮き出づ
-8-16

夢醒むるも
2004-082:軟(横雲)
軟かき木の芽に見たる春の夢醒むるも枯れし枝をたのみとす
2004-083:皮(横雲)
なにくれと叶はぬ恋の皮算用戯(たはぶ)れ言の文の溜まりぬ
2004-084:抱き枕(横雲)
抱き枕いだけど夢の虚しくて戯れの身は置きどころなし
-8-18

遠き歓声
2004-085:再会(横雲)
再会の駅の北口たぎる身に潜む痛みと朝の賑ひ
2004-086:チョーク(横雲)
色チョーク重ねて描く夏模様空き教室に遠き歓声
2004-087:混沌(横雲)
敷島の混沌の闇深まりて現し世はなほ生き難きかな
-8-20


秋の風
2004-088:句(横雲)
秋草に埋もる句碑に月影の淡き宵なり風の涼しき
2004-089:歩(横雲)
二歩三歩過ぎて気づける野仏に蝶のとまりてはつか傾く
2004-090:木琴(横雲)
秋の風呼ぶ木琴の響きありたなびく雲に何をたのめる
-8-22

夢の痕
2004-091:埋(横雲)
遠き日の胸の埋火かき出だしはかなき夢の痕を痛みぬ
2004-092:家族(横雲)
夜深み四人家族のそれぞれの部屋に孤独の枕のありて
2004-093:列(横雲)
夕焼けの終の光に立ち尽くし列なす蟻の乱れ見詰むる
-8-24


遠き思ひ出
2004-094:遠(横雲)
寄り添ひて窓辺に聞ける遠花火浴衣の君は遠き思ひ出
2004-095:油(横雲)
君の住む街への道は油照り乗り継ぎわろきバスの遅るる
2004-096:類(横雲)
生類を憐れみ食す夏の夜の生臭き息美しく吐く
-8-26

過ぎ来しを
2004-097:曖昧(横雲)
曖昧な答え重ねて過ぎ来しを悔なき我と眠りむさぼる
2004-098:溺(横雲)
濁りなき稚児の瞳に恥ぢ入りてなれに溺るる身を糾すかな
2004-099:絶唱(横雲)
咲き誇る花の絶唱山に充つかの日の春の然は来ざるも
-8-28

百首
2004-100:ネット(横雲)
たが為に歌ひあげしやこの百首言の葉散りて甘きソネット

2004-完走報告(横雲)
「題詠100」の企画は、2003年から始まっていましたが、私がこの企画を知って参加したのは歌を詠み始めて間もなくの2011年からでした。
2018年の100題が詠み終わった後、この4月からは日々のブログ更新がままならないこともあって、未参加の2003年のお題からぼちぼち詠み進めることにしました。
2003年のお題に続いて、2004年のお題100題もなんとか詠み終えました。
これで「題詠」を10年分・1000余首詠んだことになります。
-8-30
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# by asitanokumo | 2018-08-30 05:59 | 題詠まとめ

「題詠マラソン2003」《十五年》


以下、フェイスブックに記したものをまとめて転載する。


2003-参加表明(やゑ)

私が「題詠100」の企画に参加したのは2011から、歌を詠み始めて間もなくのころでした。

この企画は2003年から始まっていたと知って、始まりからどれだけ辿れるかわからないものの、この4月(2018)からは日々のブログ更新がままならないこともあって、未参加の2003年のお題からぼちぼち詠み進めてみようかと思います。

季節の花や風物(季語)と取り合わせて淡い想いが詠めればと思っています。

(今年始まった「題詠」の企画で、今年分が詠み終えると、過去の題を詠むことができるようになった。)


「十五年」

2003-001:(やゑ)

言葉なく桜月夜に肩寄せる影絵の中にある十五年

2003-002:(やゑ)

水の輪を重ねて鳥は飛ぴたった花に未練はないのだろうか

2003-003:さよなら(やゑ)

さよならを交わして帰る春の宵逢いたい気持ちを奥に澱ませ


「風ひかる」

2003-004:木曜(やゑ)

晩餐のグラスを交はす振袖に桜が散って聖木曜日

2003-005:(やゑ)

山国の雪解を想い岩陰でひとり聞いてる春の潮の音

2003-006:脱ぐ(やゑ)

春コート脱いで眩しい川風に晒す笑顔が遠くに見える


「蠢く月」

2003-007:ふと(やゑ)

花陰にうふふと笑う顔見せて早くこっちと手を振っている

2003-008:足りる(やゑ)

花散って蠢いている春月が足りない愛を求めつづける

2003-009:休み(やゑ)

嘘ついてずる休みして逢いに行き水田に春の雲を眺める

2003-010:浮く(やゑ)

熱の身が共に過ごした時越えて昔ながらの夢に浮く春


「水鳥の跡」

2003-011:イオン(やゑ)

三越のライオン撫でる少女いてビルの谷間は春の夕焼

2003-012:突破(やゑ)

花屑を突破りゆく水鳥の跡に青空ひとすじの道

2003-013:(やゑ)

春惜しむ心に愛は届かない八重の桜も散ってしまった

2003-014:段ボール(やゑ)

コロコロとやがて石段五十段ボールはポンポン弾んで落ちる


「初夏の月」

2003-015:(やゑ)

機嫌よく目覚めてきみは身を包む若葉の風にいつもの笑顔

2003-016:(やゑ)

月光に疲れを知らず濡れている窓辺に咲いたベゴニアの紅

2003-017:(やゑ)

妻籠みに垣を巡らす八雲立ち包まれていく初夏の月

2003-018:泣く(やゑ)

泣く人に泣くなと言ってすすりあげ何処まで行こう空木咲く夜


「高原」

2003-019:蒟蒻(やゑ)

蒟蒻のさしみを摘まむ縁の夏ビールの泡は零れて消える

2003-020:(やゑ)

いくつかの季節過ぎても害った心の疵はふいに疼いて

2003-021:(やゑ)

高原に向かう列車の窓いっぱいの初夏にこころを浸す

2003-022:(やゑ)

ふたりして素足の裏に夏踏んで駆けていきたい丘に来ている


「浅間の煙」

2003-023:(やゑ)

一編の詩を口ずさみつつ丘登り今朝も眺める浅間の煙

2003-024:きらきら(やゑ)

落葉松の林に雨がきらきらと横に流れて夏が始まる

2003-025:匿う(やゑ)

新緑が匿う君の影を追い雄蝶雌蝶がもつれて消えた

2003-026:(やゑ)

稲妻の光の中に見えた影何を隠すか夏の夜の森


「森の匂い」

2003-027:忘れる(やゑ)

封印し忘れたはずの思い出が時に醸され熟し溢れる

2003-028:三回(やゑ)

おあずけに三回回ってワンという犬に倣った哀しいまなこ

2003-029:(やゑ)

初夏の森の匂いに誘われて髪解き放つ君の輝き

2003-030:(やゑ)

花びらを表に裏に牡丹舞い散るにまかせる投げやりの恋


「愚痴」

2003-031:(やゑ)

街中の猫撫で声に振り向けば思いの外に老けている人

2003-032:(やゑ)

ベランダで星降る夜に二人して昔の歌を口ずさむ日よ

2003-033:中ぐらい(やゑ)

結局は老人の愚痴愛だって中ぐらいほどいいものはない

2003-034:誘惑(やゑ)

誘惑に耐えているのに白い花夏空のもと樹に溢れ咲く


「尾灯」

2003-035:(やゑ)

駅降りて角を曲がれば懐かしい顔が待ってるわけでなくとも

2003-036:遺伝(やゑ)

母娘遺伝している豪快な笑いが響く初夏の庭

2003-037:とんかつ(やゑ)

じいさんが贔屓していたとんかつのお店の席を確かめている

2003-038:明日(やゑ)

終電のテールライトが消えた後置き去りになる明日のない恋


「青葉」

2003-039:贅肉(やゑ)

かの人の優しさなのか贅肉がプルンプルンと波打っている

2003-040:走る(やゑ)

石走る滝の音聴く真昼なり青葉をこえた風が輝く

2003-041:(やゑ)

場違いのようでも墓場におしゃれ服私の時は着て来てください

2003-042:クセ(やゑ)

頰そめる君を想ってほの赤い月に向かってアクセルを踏む



「風の暑さ」

2003-043:(やゑ)

たぎる鍋庭にぶちまけ夏が来た風の暑さに息止める夕

2003-044:殺す(やゑ)

噛み殺す怒りが幾度重なって僕らはボケていくのだろうか

2003-045:がらんどう(やゑ)

子供らが帰った後のがらんどう体育館に潜む陶酔

2003-046:(やゑ)

石南花(シャクナゲ)にやさしい夏が降りかかる訪う人のない高原の朝


「花南瓜」

2003-047:沿う(やゑ)

川に沿う桜並木に青嵐君の帽子は高くに飛んだ

2003-048:(やゑ)

坂の上花の下にて死にたいと歌った人の碑に青嵐

2003-049:嫌い(やゑ)

いまさらに嫌いな人に手を振って別れるように別れてみたい

2003-050:南瓜(やゑ)

にぎやかに南瓜の花が咲いていて素顔の君は故郷訛


「老を哀しむ」

2003-051:(やゑ)

色と酒溺れることも遠くなり敵(かたき)といえぬ老を哀しむ

2003-052:冷蔵庫(やゑ)

冷蔵庫開いて閉じて夕飯は何にするかと不在の悶え

2003-053:サナトリウム(やゑ)

高原のサナトリウムにいるように朝の空気を二人で吸って

2003-054:麦茶(やゑ)

新しく麦茶を淹れて生き死にの瀬戸際を問う息継ぎの昼


「花野の風」

2003-055:置く(やゑ)

甦る花散る下に佇んて胸に手を置く君の仕草が

2003-056:(やゑ)

風に立ち花野の花を摘み取ってもう会えないのかと恨んでる

2003-057:(やゑ)

梅雨空に開いて閉じて蛇の目傘別れる時は傾けている

2003-058:たぶん(やゑ)

ごたぶんに洩れずあなたもさよならはごめんで始まりごめんで終わる


「彷徨う町」

2003-059:(やゑ)

芳草の夢は醒めずも目も声もかすみかすれて影遠ざかる

2003-060:奪う(やゑ)

奪われた心を元に戻せずにあなたの町を彷徨ってみる

2003-061:祈る(やゑ)

目をあげて祈る姿にひざまずく君を眺めて安らいでいる

2003-062:渡世(やゑ)

これまでに渡世の道の分岐点幾つ間違えここに来たのか


「遠い記憶」

2003-063:海女(やゑ)

暁の林は深い霧の海女の影がぼんやり浮かぶ

2003-064:ドーナツ(やゑ)

分かち合う餡ドーナツのひとかけら遠い記憶を呼び覚ましてる

2003-065:(やゑ)

眩しくて遮光カーテン閉じる昼ホテルの窓に遠い山影

2003-066:(やゑ)

老いそめて君の僕(しもべ)になる花見この世のほかの思い出にす


「夢のなごり」

2003-067:化粧(やゑ)

花栗の香につつまれる化粧坂終わった人の夢のなごりに

2003-068:似る(やゑ)

窓口になごむ笑顔が君に似る看護婦がいて通う病院

2003-069:コイン(やゑ)

この恋を占うようにコイントス表が出たら今日会いに行く

2003-070:玄関(やゑ)

玄関に散らばる靴のさまざまを大中小に並べて帰る


「緑の風」

2003-071:待つ(やゑ) 

高原の緑の風に吹かれつつ今年も集うともがらを待つ

2003-072:(やゑ)

居酒屋の席ほぼ埋まり碁がたきの席だけ空いて西日が暑い

2003-073:(やゑ)

資本論語る人無く世の中は金がすべてと金持ちの論

2003-074:キャラメル(やゑ)

よちよちがやがてのりのり片足で踊るゆるキャラメルヘンの郷


「風に染まる」

2003-075:痒い(やゑ)

ウズウズと背中の傷が痒いからシャワーを浴びて緑に染まる

2003-076:てかてか(やゑ)

テカテカの脂の顔を拭いつつ緑の風に包まれている

2003-077:落書き(やゑ)

学級のノートに落書きした日々がドラマみたいに思い出される

2003-078:(やゑ)

夏虫を殺める灯しチカチカとまたたき揺れて夜風にそよぐ


「時経りて」

2003-079:眼薬(やゑ)

時経りて霞む記憶に眼薬をさしてあなたの面影を追う

2003-080:織る(やゑ)

火の山の物語織る幾夜さの窓に凭(もた)れて浸る追憶

2003-081:ノック(やゑ)

てのひらのスパイカメラはミノックス愛の記憶をそっと残した

2003-082:ほろぶ(やゑ)

美し国ほろぶ姿を見る日々が幾年過ぎて我は老いたり


「風の言葉」

2003-083:予言(やゑ)

電話口逢えるその日を予言する風の言葉を耳に重ねる

2003-084:(やゑ)

次々と円舞の相手替えていく君を見ていた海辺のホテル

2003-085:銀杏(やゑ)

あたたかな銀杏落葉に身をしずめふりゆく時を惜しむ夕暮

2003-086:とらんぽりん(やゑ)

幼子をとらんぽりんが跳ね上げてまばゆく揺れるスカートの夢


「歓び」

2003-087:(やゑ)

別れても朝な夕なに願ってた歓び合えるその日はあると

2003-088:(やゑ)

象潟の雨に打たれて咲く合歓に願いを込めてすする岩牡蠣

2003-089:開く(やゑ)

再会の君の心はいつまでも開くことないパンドラの箱

2003-090:ぶつかる(やゑ)

歓びのぶつかる音がくりかえすいとなみしぶき透き通る夜


「刻を待つ」

2003-091:(やゑ)

峰を這う浅間の煙また匂うつま恋う村に一人過ごす夜

2003-092:人形(やゑ)

十六夜の人形めいた縺れ髪さかしまの身にいなずまの影

2003-093:(やゑ)

戯れに恋の名残りの舞扇開いて閉じて過ぎる刻待つ

2003-094:(やゑ)

ふけゆけばさだめの時を待ちながら熟れた無花果ワインで煮込む


「時満ちて」

2003-095:満ちる(やゑ)

咲き満ちる桜の下の思い出は出逢った刻の笑顔の匂い

2003-096:石鹸(やゑ)

思い出は弾けて消える石鹸玉遠くの君へ届けたいのに

2003-097:(やゑ)

来年の干支を数える時満ちて逢える日のくる春を待つ夜

2003-098:(やゑ)

お互いに爛れた傷を舐めあってそっぽを向いて過ごす夜が過ぎ


「やさしい想い」

2003-099:かさかさ(やゑ)

短歌にもヘイト記され鬱な朝そのかさかさの心哀しむ

2003-100:短歌(やゑ)

短歌にはやさしい想い詠みたいと幸せ拾い百首重ねる


2003-完走報告(やゑ)

題詠マラソンの2003年度分を詠み終えた。

ブログ再開に合わせて課題として「やゑ」の名で歌い始めたのが五月初めのことだった。

どうにか口語短歌に慣れてきた感がある。





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# by asitanokumo | 2018-06-23 06:10 | 題詠まとめ
「題詠100」は、このところ八慧の名で詠んでいたが、今年は横雲の名で数年前試みたように春に咲く花にからむ恋の歌を文語で詠んで物語が作れればと思って参加した。
春のうちに詠めればと歌いだしたが、意外に早く詠めてしまった。
なんとか恋の物語が浮かび上がってくるように、10首ずつ小見出しをつけて詠んでみた。
ここにはまずそのままの形で転載する。

 「老いらくの恋はてて」(110首)

 「春を待つ」 001--010
画像に含まれている可能性があるもの:空、植物、屋外、食べ物
2018-001:起(横雲)
日高う寝起きて眺む梅が枝に春のしるしのかそけくぞある

2018-002:覚(横雲)
行く先の打ち覚ゆれどなほ春は朝風寒く遠き面影

2018-003:作(横雲)
作りなす盆梅の花咲きたれどとふひありやと春ぞ久しき

2018-004:いいね(横雲)
春霞たなびく空を待ち居れば「いいね」の声の遠く聞こゆる

2018-005:恩(横雲)
恩讐を越えて逢ひたき人あれば梅の香さそふ里の春風

2018-006:喜(横雲)
再びの春に逢う日を待ち居れば芽吹ける梅の目を喜ばす

2018-007:劣(横雲)
待ち居れば我劣らじとふふみたる梅の蕾の愛しかりけり

2018-008:タイム(横雲)
ひと匙のスープふふめば広がれるタイムのよき香君の思い出

2018-009:営(横雲)
としつきの営み絶えず再びの春の巡りの花の待たるる

2018-010:場合(横雲)
探梅に待合せたるバス乗り場合はする笑みの久方にして


 「行き違ふこころ」011--020
画像に含まれている可能性があるもの:植物、花、自然、屋外
2018-011:黄(横雲)
咲き初むる黄梅の黄を弾く陽や頬にやさしく君を迎ゆる

2018-012:いろは(横雲)
君思ひ草書で記すいろは歌にほへど梅は未だしならむ

2018-013:枝(横雲)
老梅のひと枝にひとつ花つきぬ羞じらふ如く紅滲ませて

2018-014:淵(横雲)
追憶の淵に佇み覗きやる危ふき時を君と重ねき

2018-015:哀(横雲)
思ひきや哀れとどむる春の夜をあひみぬままにひとりぬるとは

2018-016:掘(横雲)
わがとがを根掘り葉掘りに問ひつめて涙の川を君は渡れり

2018-017:ジュニア(横雲)
背を見せて団塊ジュニアの君なればひとり遊びは芸のうちとや

2018-018:違(横雲)
行き違ふこころをふたり持て余しもだして過ごす雪の舞ふ夜

2018-019:究(横雲)
去れるとき我を揶揄して恋の道究むる人と言ひて頬撃つ

2018-020:和歌山(横雲)
しのぶほどなみだに濡れて詠める和歌山より月の出でぬ日なれば


 「懐かしむ日々」021---030
画像に含まれている可能性があるもの:植物、空、花、木、屋外、自然
2018-021:貫(横雲)
手に載せて志野の貫入愛しみし君が横顔懐かしむ日々

2018-022:桐(横雲)
桐下駄の音追ひゆけばけざやかに君の面影路地裏に立つ

2018-023:現(横雲)
失へる現(うつつ)の夢の名残とて契れる夜の欠片(かけら)を拾ふ

2018-024:湖(横雲)
鎮まれる火口湖ながめ燃え立ちし時愛しみて老をかなしむ

2018-025:こちら(横雲)
ワンピース着ごこちらくと寄り添ひて初めての夜は静かに過ぎき

2018-026:棄(横雲)
世を棄てし身に下萌のやさしきに苦しき恋をたのみとはせむ

2018-027:鶴(横雲)
葦田鶴のねになく夜半の一声を春の景色の朧に聞けり

2018-028:帰(横雲)
金縷梅(まんさく)のひとむれ咲ける門に居て帰らぬ日々を悔ゆる夕暮

2018-029:井(横雲)
つれなきに井守の黒焼振り掛けむ燃ゆる思ひは我のみにして

2018-030:JR(横雲)
JRに待ち惚けたるバレンタイン私鉄にありし君の懐かし


 「梅咲きそめて」031---040
画像に含まれている可能性があるもの:植物、花、空、木、屋外、自然
2018-031:算(横雲)
追ふほどに算を散らして去る雀深き林に梅咲き満つや

2018-032:庵(横雲)
我庵に訪ふ人の無く日のつもり咲かずはつるや再びの春

2018-033:検(横雲)
ふふみたる誠の心検(あらた)むや梅の蕾のなほ固かりき

2018-034:皿(横雲)
梅描く揃ひの皿に春の色浮かぶる宵や君に逢ひたし

2018-035:演(横雲)
好々爺演ずる宵に梅の香のほのにつつみてなが手を握る

2018-036:あきらめ(横雲)
なが心あきらめたるに再びの春を咲かすと卦にいでしかも

2018-037:参(横雲)
敷妙の君が御許に参りしに梅が枝に香のほころびにけり

2018-038:判断(横雲)
終局の違えぬ判断慶びて笑みを交はしぬ桃色遊戯

2018-039:民(横雲)
あこがれの田舎暮らしと古民家の縁に寄り添ふ桃源の里

2018-040:浦(横雲)
忘れ貝思ひありその浦波の寄せしを拾ふふたりなりけり



 「再びの春」041---050 
画像に含まれている可能性があるもの:夜
2018-041:潔(横雲)
潔く訣れし時をなきものに言はず語らず再びの春

2018-042:辺(横雲)
春の灯の甘き香のする枕辺に言はず語らず滂沱の涙

2018-043:権(横雲)
優しさの権化といへる偽りを知りてや君はせつなさに泣く

2018-044:ゴールド(横雲)
袖交ふる恋のゴールドファーミング痛みをひとひ歓喜に換へよ

2018-045:承(横雲)
ぬば玉の言承(ことう)け良きもふるまひは不承々々と見せし閨なり

2018-046:沖(横雲)
沖待ちの船の灯りを眺めつつ臥処(ふしど)にふたり黙(もだ)して居りぬ

2018-047:審(横雲)
つひに来る審(さば)かるる日のせつなきも悔みをけふは悦びとせむ

2018-048:凡(横雲)
去れる日に凡(おほ)に見しくを悔みやり床を新たに心焦がせる

2018-049:順(横雲)
歯目魔羅と順に迎ふる我なれどけふ新たなる夢ぞ見せなむ

2018-050:痴(横雲)
再びの恋に酔ひ痴る春の宵通ひなれたる夢路辿れり



 「咲きそめし桜の下に」051---060
画像に含まれている可能性があるもの:木、屋外
2018-051:適当(横雲)
桜咲く報せのあれば願ひたる悠悠自適当(あ)てこともなし

2018-052:誠(横雲)
春の夜の覚めたる夢は誠かと確かむるべく旅立ちにけり

2018-053:仙(横雲)
半仙戯漕ぎ出す心悦びて二人手を取り春風に舞ふ

2018-054:辛(横雲)
桜咲き千辛万苦乗り越えてつひに逢ひたる二人なりけり

2018-055:綱(横雲)
栲綱(たくづの)の白き鵜の綱手繰る如手繰り寄せらる我にてあらむ

2018-056:ドーナツ(横雲)
ドーナツの穴の先見る昼下がり笑顔の上に桜咲くなり

2018-057:純(横雲)
名を呼べば純情可憐の乙女めき桜の下に君振り返る

2018-058:門(横雲)
門灯のほのかに照らす桜木を仰ぐや空に月朧なり

2018-059:州(横雲)
宇治川の中州を渡る橋に寄り昔語りの恋をするかな

2018-060:土産(横雲)
言訳に旅の土産を選び買ふ君の肩背に花散りかかる


 「逢瀬ののちに」061---070 
画像に含まれている可能性があるもの:靴
2018-061:懇に(横雲)
懇ろになりて互いにつま抱(いだ)き汝(な)を想へりと泣きし夜の明く

2018-062:々(横雲)
虚々たるやけふを限りの命ぞと果てにし夢の跡のむなしく

2018-063:憲(横雲)
護るべき憲を守らずひたすらに不倫を責むる世のさかしさよ

2018-064:果実(横雲)
この因果実(まこと)し顏に尋ぬるは咎とや君は悟りたりしか

2018-065:狩(横雲)
言の葉の胸を射ちしや狩の夜の我待ちわぶる小琴の調べ

2018-066:役(横雲)
狂ほしく小琴奏でる指愛(かな)しそら鳴りの夜の一人二役

2018-067:みんな(横雲)
初旅の後にしるくや顧みんながかんばせの悦びの色

2018-068:漬(横雲)
なびき藻のくるや苦しきみだれ髪梳(けづ)りて漬(ひた)す悦びし夜を

2018-069:霜(横雲)
憂ひつつ寝もせで明くや春の霜影のしろきを恃みながむる

2018-070:宅(横雲)
棹させば舟は揺らぎぬうらみつつまいてこのよは三界火宅


 「夜桜」071---080
画像に含まれている可能性があるもの:夜、屋外、水
2018-071:封(横雲)
巡り来しふたとせ越しの春なれや溢るる想ひ封ぜざれなく

2018-072:レンタル(横雲)
レンタルの着物で遊ぶ京の夜下駄の音にも華やぎありて

2018-073:羅(横雲)
美しく綺羅をまとへる桜狩り祇園をよぎる月朧なり

2018-074:這(横雲)
いだかれて背を這ひわたる汝(な)が指は魔神の翼はばたかすなり

2018-075:辻(横雲)
辻の灯に同じ夢見るここちして桜花ちる祇園をよぎる

2018-076:犯(横雲)
春うらら耳に桜の散りかかる女犯の僧の懺悔聞く如

2018-077:忠(横雲)
暁を憂しと歌へる忠岑に添ひて悦ぶ朝を語らむ

2018-078:多少(横雲)
手すさびの我楽多少し弄びふたりの春の夜や更け行ける

2018-079:悦(横雲)
君が影眺めてひとり悦に入る人妻となる身のいとほしく

2018-080:漁(横雲)
夜桜の並ぶ灯火(ともし)や妖しくも漁火に似て映り揺らげる


 「花筏」081---090
画像に含まれている可能性があるもの:屋外、水
2018-081:潰(横雲)
ながらへば潰(つい)えた夢の出涸らしを生くるがごとく花屑を踏む

2018-082:にわか(横雲)
鴛鴦(おしどり)の静かにわかつ花筏別るる朝に来し方たどる

2018-083:課(横雲)
愛といふ責をを課されし身の内に待つもはかなき春の夜の夢

2018-084:郡(横雲)
散る桜美しからむ汝が郡添ひて寝(ぬ)ればや惜しまざらまし

2018-085:名詞(横雲)
読みとくは古歌の総仮名詞書春障子には鳥影よぎる

2018-086:穀(横雲)
夢の辺の桜の下にくらしつつ穀潰(ごくつぶ)してふ我は詠へる

2018-087:湾(横雲)
弓なりに湾をよぎれる船の灯の春惜しみつつ島に隠れぬ

2018-088:省(横雲)
膠も無き手間省くかのメールあり別れの言葉なきままにして

2018-089:巌(横雲)
なほ吾に巌を通す一念の熱はありやと心に問へり

2018-090:トップ(横雲)
老いらくの狂恋もはやつきぬらむノンストップの終着近し


 「散る花に」091---100
画像に含まれている可能性があるもの:屋外、自然
12018-091:勘(横雲)
見つめつついらふる君の笑む顔を勘違ひして恋の始まる

2018-092:醤(横雲)
氷にも酢醤油かくる人と居て香れる風に過ぎしひと夏

2018-093:健(横雲)
笑む顔の健気(けなげ)にみえて妖しきを知るやしらずや君はにつこり

2018-094:報告(横雲)
散る花に因果応報告げられて風吹き荒るる行方やしれぬ

2018-095:廃(横雲)
人の世ははやり廃りの浮き沈み春待たぬ日の諦めの色

2018-096:協(横雲)
ゆるらかに妥協重ねし果てにある老いを愛しみわが恋終る

2018-097:川(横雲)
匂ひたつ合歓(ねむ)の眠れる湯の宿や川瀬の音に雨のけぶれり

2018-098:執(横雲)
逃れえぬ修羅の妄執いだきつも老い行く先に春は来むとす

2018-099:致(横雲)
ふりゆけば致し方なく別れたりのちのおもひを埋めしままに

2018-100:了(横雲)
詠ひしは制御不能に陥りて強制終了せし恋の曲折


(寄り道コース)
 「忘られし記憶」101---110
2018-101:壱(横雲)
壱の籤曳きてうれしき初詣共に梅見し若き日想ふ

2018-102:弐(横雲)
弐心咎めて去れる君の影散りかかりたる花や哀しき

2018-103:肆(横雲)
懐かしやふたりで読みし思ひ出の詩集みつくる書肆の棚に

2018-104:イレブン(横雲)
いま残る君の詠みたる歌の数イレブンナインの愛の結晶

2018-105:廿(横雲)
みてぐらを廿四孝にならへどもこの咎罪は神も許さじ

2018-106:九十九(横雲)
ふりたちし面影に見ゆ九十九髪(つくもがみ)老いて逢いたき人にぞありける

2018-107:萬(横雲)
春の夜の一人遊びの萬華鏡夢転がりて胸に湧くみの

2018-108:ミリオン(横雲)
ふたり行くサンテミリオン空碧くワインに酔ふて巡礼の径

2018-109:那由他(横雲)
那由他てふ名を持つ人に説かれたる仏の寿命我が罪の数

2018-110:無限大(横雲)
豊穣の見渡す限りの無限大君と語りし若き日の夢

『完』


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# by asitanokumo | 2018-02-14 17:31 | 題詠まとめ
001:入(やゑ)
温泉に一緒に入りぽかぽかの頬は春色心も溶ける
002:普(やゑ)
返還はいつになるのか春立ちて朱(あけ)に明けゆく普天間の空
003:共(やゑ)
老兵は消え去らずして励みつも共には行けぬ絶頂世界
004:のどか(やゑ)
夢一夜恋歌奏でふりたるに花にや重き春のどか雪
005:壊(やゑ)
壊れゆく君に魅入られ我が魂は消なば消ぬべく焦がれ果てたり
006:統(やゑ)
はちす葉の玉ゆり統ぶる風吹きてはかなむ夜に露ぞこぼるる
007:アウト(やゑ)
手を取れど黙しがちなる夜の街チェックアウトの後のけだるく
008:噂(やゑ)
恥ずかしい噂に惑う君の肩強く引き寄せ励ましていた
009:伊(やゑ)
あてもないやさぐれ男の伊達姿見せてやろうかあだの振舞い
010:三角(やゑ)
この夏の大三角を共に見る夢を抱いて今夜も一人
011:億(やゑ)
一億の民を裏切る夢の果て風に散るしかないと仇花
012:デマ(やゑ)
いつだってオンデマンドで応えますメールにキッスうそではないよ
013:創(やゑ)
一夜明け肩に残った咬創(かみきず)が別れが辛いと疼いています
014:膝(やゑ)
眠れない独りの夜は膝抱いてそっと名前を呟いている
015:挨拶(やゑ)
御挨拶しただけで去る観世音老いても悩み深かまるばかり
016:捨(やゑ)
この国に二人がいても捨てられて忘れられたらこの世は虚空
017:かつて(やゑ)
この夏も未練に沈むいつかつていう約束は破られたまま
018:苛(やゑ)
夢遥か苛立つ我を慰むる君の優しき手の温かく
019:駒(やゑ)
別れゆく駒の足掻(あがき)の早しとて虚しく手繰る思ひ出の道
020:潜(やゑ)
こっそりと気付かれぬよう潜り込み悪戯しているお布団の中
021:祭り(やゑ)
受話器から遠く漏れくる夏の夜のあなたの村のお祭り囃子
022:往(やゑ)
許されぬこととは言えど泣きながら右往左往に夜が更けていた
023:感(やゑ)
言葉などあてにはならず目隠しで感度良くして行く先不明
024:渦(やゑ)
陶酔の渦中にありて君の声上ずっていて理解不能に
025:いささか(やゑ)
いささかも嘘はないよという君の嘘が愛しいこの夕月夜
026:干(やゑ)
初詣干支占いで診る相性秘かに信じ指を絡める
027:椿(やゑ)
闇の中逢えない夜のせつなさに人恋椿ぽとりと落ちた
028:加(やゑ)
後ろから手加減なしでと求められ いいんだ君の背中好きだもん
029:股(やゑ)
股肉にかじりつく君いとおしく熱く美味しく焼き上げる鶏
030:茄子(やゑ)
御短珍我は惚け茄子土手南瓜どうせふられてなすすべもなし
031:知(やゑ)
知っているそっと背中の黒子追う君の指先その優しさを
032:遮(やゑ)
昼の陽を遮る窓のカーテンを閉めて無言の君と重なる
033:柱(やゑ)
ひと夏の二人の時間(とき)を刻んでた柱時計が今日も鳴ってる
034:姑(やゑ)
見え透いた姑息な嘘がいじらしい涙の陰に隠れる微笑
035:厚(やゑ)
こんにちはあっけらかんと濃厚なキスを求める君が眩しい
036:甲斐(やゑ)
思い出とまた逢える日を生き甲斐に私はけなげに過ごしています
037:難(やゑ)
帰り道別れ難くて想い込め絡めた指は解けないでいる
038:市(やゑ)
秋の夜を過ごしたホテルの朝市を手をとり歩く気怠いままに
039:ケチャップ(やゑ)
ああ今も「絶望してはいけない」と諭すよダンケチャップリンさん
040敬(やゑ)
いゃよって拗ねてみるのも御愛敬無理やり抱いて歓喜倍増
041:症(やゑ)
悶々と癒せぬ恋の症候群貴女の笑顔に焦らされている
042:うたかた(やゑ)
口遊む千年前の星のうたかたぐ月影夏の夜の夢
043:定(やゑ)
定め無い行く末想い待つ君にたぎる心を送り続ける
044:消しゴム(やゑ)
灯り消しゴムサックたぐる指先に初めての夜がほころんでゆく
045:蛸(やゑ)
君知るやおのが身を食う蛸のごと見果てぬ夢を追ひ慰むを
046:比(やゑ)
逢えばこそ愛の深きを比べあい言葉少なに睦み合う秋
047:覇(やゑ)
雄々しくも裸になりて起てる吾覇王のごとく君に向へり
048:透(やゑ)
色香濃き透ける肌(はだえ)を愛(いつく)しみ抱(いだ)くや花の露ぞ零れぬ
049:スマホ(やゑ)
笑み零しやさしく君の前に立つカリスマホストになったつもりで
050:革(やゑ)
革靴が二足揃って並んでるホテルの部屋の桃色吐息
051:曇(やゑ)
息ひそめ君の影追う硝子戸はいで湯に曇る初めての旅
052:路(やゑ)
手を取って二人で向かう行く末を選べないまま三叉路に立つ
053:隊(やゑ)
隊組んだ妖精たちに囲まれて抱きしめている堕落の天使
054:本音(やゑ)
お互いに本音を晒すその果ての極みの叫び意味をなさない
055:様(やゑ)
三角も五角もあって君と僕複雑怪奇の恋愛模様
056:釣(やゑ)
約束は釣瓶落としに暮れる秋二人手を取り闇に溶け込む
057:おかえり(やゑ)
待合せ今日は小田急ゆりがおかえりぬきの店予約済みです
058:核(やゑ)
桃割りて甘きをかじり核(さね)しゃぶるこの陶酔を君と共にす
059:埃(やゑ)
君もまた叩けば埃り出る身だと愛戯にまぎれ臀部なぶらる
060:レース(やゑ)
初めてのデートコースはひそやかなカップルおすすめプレースポット
061:虎(やゑ)
虎になる頃には君はもういないあの一杯が失敗だった
062:試合(やゑ)
辛うじて最後の追試合格の連絡受けて卒業式ナウ
063:両(やゑ)
占えば両思いとはあるものの両国橋は一人で渡る
064:漢(やゑ)
電話口誤解重ねて喧嘩して頓珍漢に話を終える
065:皺(やゑ)
よく見ればかすか目尻に笑い皺楽しく生きた証しとは言え
066:郷(やゑ)
ゆるゆると温泉郷を巡りゆく老後の夢を語り合うとき
067:きわめて(やゑ)
田原坂手繋ぎ歩むゆんでには笑顔ひときわめてに桜葉
068:索(やゑ)
今日もまた君に迷へる我が魂の捜索願書いては消して
069:倫(やゑ)
絶倫の精力求め八起きする姿を君は笑ってみてる
070:徹(やゑ)
極楽と夜を徹して睦み合い続きをねだる声はしわがれ
071:バッハ(やゑ)
恋求め尋ね歩けり古き町ゲーテ通ひしオッフェンバッハ
072:旬(やゑ)
歳重ね旬外れとはお互いに言いっこなしとにらめっこする
073:拗(やゑ)
湯上りに拗ねて甘えて膝枕乱れた裾に手が伸びていく
074:副(やゑ)
甘くとも恋のもたらす副作用嘘許さない苦さが沁みる
075:ひたむき(やゑ)
ひたむきに恋に生きたき時過ぎて今に残るは苦き思ひ出
076:殿(やゑ)
薄暗き湯殿にふたりほてりたる身を沈めつつ谷の音聴く
077:縛(やゑ)
惜しみつつ身を縛める紐解くや病みつきになるしたい放題
078:邪魔(やゑ)
夢やゆめ恋を邪魔するもろもろを解き放ちたる君うつくしき
079:冒(やゑ)
冒瀆を許さぬ愛のけがれなく君ひとすじと誓ひたる春
080:ラジオ(やゑ)
とりどりのグラジオラスに舞う蝶が選ばない花真っ赤に乱れ
081:徐(やゑ)
徐に探れる舌の感触を忘れはすまい逢ひし記念に
082:派(やゑ)
いじらしや恋を夢見る星菫派時に無頼となれる君なり
083:ゆらゆら(やゑ)
秋深みたまゆらゆらぐ我が想ひぬきとめがたき片糸の露
084:盟(やゑ)
盟神探湯(くかたち)に爛れし手なり誓てし命にかへて恋に生きめや
085:ボール(やゑ)
胸に挿すネイビーブルーのボールペン君の愛称刻まれていて
086:火(やゑ)
火の山の村には白き灰降ればひとしきり織る果てしなき夢
087:妄(やゑ) 
脱ぐ時と脱がす時とを妄想し二人で選ぶシュミーズドレス
088:聖(やゑ)
我はなほ聖人君子にあらざれば蠢愚蕩児の道に迷へる
089:切符(やゑ)
悔やんでももう戻れないこの手には二人で買った片道切符
090:踏(やゑ)
ながき夜の闇路に深く踏み入りて夢もうつつもわかぬなりけり
091:厄(やゑ)
囚はれし邪(よこしま)の恋厄除けのお札重ねてなほ払いえず
092:モデル(やゑ)
ダンディなシルバーモデルがかぶってる帽子がいいと鏡に映す
093:癖(やゑ)
気が付けばあなたの癖に染められて哀しい時に笑ってみせる
094:訳(やゑ)
密会を重ねるほどに言い訳が上手になって罪深き旅
095:養(やゑ)
散り急ぐ桜を浴びる花供養出逢うこの日を永遠にと願う
096:まこと(やゑ)
今更にまことしやかの言の葉とさまことなれる君が振る舞ひ
097:枠(やゑ)
いまさらの君との愛は別枠とご都合主義の言い訳を聞く
098:粒(やゑ)
小粒でも好きな味だと寄り添って胸に木の芽の香のキスをする
099:誉(やゑ)
誉められてその気になって愛の歌君に捧げて詠い続ける
100:尽(やゑ)
いつまでも可愛い君を愛したい老残の身に精尽きるとも

寄り道コース
101:轢(やゑ)
春の日は凌轢(りょうれき)された精神が萎えた体に沈んで澱む
102:鼎(やゑ)
次々と鼎は鳴りて日ノ本の沈みゆけるをいましむる夕
103:スパナ(やゑ)
七十路の春の休みの旅先はレミントンスパナルシスの花
104:欅(やゑ)
百千の欅(ケヤキ)に集う椋鳥の飛び立ち帰る夕焼けの空
105:饒(やゑ)
愛のみで救いうるのかいや増せる富饒の国の貧しき人を
106:鰆(やゑ)
甘露なる酒酌み交はし良き友とつまむは寒の鰆の刺身
107:蠱惑(やゑ)
恋の如溺れて堕ちる春の宵蠱惑的なる瞳に溶ける
108:嚢(やゑ)
春待つも鈴とはならぬ松陰囊(まつふぐり)ふわりと踏んで手に取る二人
109:而(やゑ)
若かりし而立不惑は昔なり知命天命過ぎて従心
110:戴(やゑ)
事はじめ戴きますとご挨拶したのになんと途中退場



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# by asitanokumo | 2017-12-02 22:12 | 題詠まとめ
百首まとめました。
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001:地  共に行く道は何処まで老いてなお地獄極楽見るが人の世
002:欠  不真面目な欠伸(あくび)が今はふさわしい呪いの杜に神の不在を
003:超  惚け茄子と醜さ知らず限界を超えて傾く明日(あした)を足蹴(あしげ)
004:相当  被曝量致死相当の推定に命いとしと祈り続けて
005:移  春浅い窓に寄り添い移りゆく時を嘆いて「世はこともあり」
006:及  想像の及ばぬ果に来りしと七十年の終焉を見る
007:厳  厳冬を越えれば春が来るはずも凍ったままの予感に震える 
008:製  寄り添って二人座れば春の日にゆるゆる軋む木製の椅子 
009:たまたま 恋のうたまたまつく尾を泥中に曳いて吟じる亀の極楽
010:容  春容を慕いて啼くは容佳鳥(かおよどり)君の声こそ今はききたく
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011:平  恋いしくて彷徨い巡る平城山(ならやま)の悲しい歌を君に聞かせる
012:卑  漏れてくる声が卑猥な遅出しの老猫の恋歌垣の夢
013:伏  虹色の伏せ字を起こしそして春 伏目がちなるひといつくしむ
014:タワー 祝宴の夢にわれらは若くしてシャンパンタワー添いて見上げる
015:盲  有り難い盲亀浮木の出会いでも穴を求めて亀はかなしむ
016:察  水色の診察室のディスプレー水草分けて鱗がひかる
017:誤解  狂乱の時代の錯誤解きほぐす正気が戻る朝はもうない
018:荷  ほんのりと薄荷が香り若い日の口づけの味思い出す朝
019:幅  春うらら飛び越えられない川幅にふたり手を取り朝の陽浴びる
020:含  握る手にうふっと含み笑う声今キスしたいと誘う川端
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021:ハート 並んでるハートマークが嬉しくてふたりで越える百里の隔て
022:御  春が来て制御できない想い湧きスカートふわりひるがえす君
023:肘  語りたいことはあるのに見つめ合い片肘ついて煙草吸ってる
024:田舎  啜り合う田舎汁粉は身を焦がす花見の茶屋に夕焼けを呼ぶ
025:膨  老いる身も花咲く春の日の夢を膨らませつつ一日(ひとひ)千秋
026:向  小春日は二人並んで日向ぼこ絡ませた手に猫がじゃれつく
027:どうして 待っていて今夜のうちにどうしてもピンクのバラを届けたいから
028:脈  春の旅二人で眺める湖の悦びの跡光ってる水脈(みお)
029:公  テラスから眺める初夏の外苑の公孫樹並木に風が流れて
030:失恋  のめり込み茫然自失恋の闇迷宮の中道に外れて
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031:防  けだるきも夜の防ぎのガウン着てタバコ燻らす時の恍惚
032:村  茶の里の又一村に立ち寄って恋の味する抹茶を啜る
033:イスラム トップレス二人で泳ぐメキシコのイスラムヘーレス透明な海
034:召  制服にお召替えしたお姫様幼稚園には桜満開
035:貰  貰い泣きするひとがいてそのままに閉ざされていく桜咲く路
036:味噌  抜き差しの胡麻味噌ずいの指遊びお茶碗割れてトッピンシャン
037:飽  飽かなくに影は隠れて見えぬまま時移ろいてやがて花散る
038:宇  霧深き宇治の恋読む春の宵去りゆく影が朧ろにとける
039:迎  お迎えの来る日も近いと思うから笑顔ばかりが鮮やかな朝
040:咳  近づくも咳払いして知らん顔連れている人いったいだぁれ
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041:ものさし 笑絵は江戸の好きものさしおいてたかぶる猫の恋を見詰める
042:臨  臨津江飛びかう鳥を羨めり縺れる綾はいつの日ほぐる
043:麦  一粒の麦の実りを祈りつつ一人の子ども一本のペン
044:欺  欺きを許せるぬものと怒れども甘えた笑顔に月おぼろなり
045:フィギュア フィギュアの削る氷の輝きの音に合わせて靡くフレアー
046:才  春の日のショーウィンドーが映し出す才子佳人に見惚れ寄り添う
047:軍  手に持てる桜ひと枝花軍(はないくさ)灯しにあかき君のかんばせ
048:事情  だめ押しのつれない返事情けなく夜沈沈と涙にくれる
049:振  待ち疲れ振りさけ見ると咲き誇る花におぼろの月がでいいる
050:凸  解く髪と胸の凸起の透く影が夏の海辺の窓に揺らいだ
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051:旨  旨酒の魅惑に溺れ夜が明けてほてる肌(はだえ)に花影揺れる
052:せんべい いかんせんべい独楽弾く夏の日のもう戻れない苦い思いを
053:波  ひとり寝て乱れる胸が波の穂のしぶきに濡れた夏が悲しい
054:暴  猛り立つ暴れん坊を慰めて見つめる頬に涙ひとすじ
055:心臓  再会に動きはじめた心臓が止まったままの時を求める
056:蓄  記された含蓄多い歌読んで悶々春のひとひが過ぎる
057:狼  「もうやめる」不意の言葉に狼狽(うろた) える何をやめればいいのか我は
058:囚  つぶやいた君の言葉に囚われて進めないまま茫然自失
059:ケース ショーケース二人並んで眺めては迷い迷いの未来を探す
060:菊  枯菊を焚くとほのかな香が流れあなたのいない季節(とき)が過ぎさる
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061:版  回数も期間も越えて体験版使用不能に陥った恋
062:歴  過ぎた日の着信履歴見返して削除をいくつ繰り返す夏
063:律  君は病む我の心の調律師それでも治らぬ怪しい呂律
064:あんな 世の中に恋てふもののあんなるにあんなことして過ごす一日
065:均  均等に配分される愛なんて悲しいだけと独占の欲
066:瓦  巡りきた赤い煉瓦の水路閣手をとりくぐる幻月の宵
067:挫  折節の飾り気のないメール見て挫けた気持ち奮い立たせる
068:国歌  亡びたる国歌うたえと強いられてひたすら噤む唇痛い
     京の旅阿国歌舞伎の屏風絵を君を待ちつつ眺めゐたりき
069:枕  枕絵を見せて誘えば逃げもせず素知らぬ顔で握り返す手
070:凝  目を凝らし見つめる振りのあぶな絵にふたりの想い重なっていく
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071:尻  悲しくも尻切れ蜻蛉になるメール夜更けに一人つぶやいてみる
072:還  アラ還という人々が群れなして鞍馬天狗も尻込みをする
073:なるほど その仲が深くなるほど夕暮は逢瀬の影を優しくつつむ
074:弦  横たわるベットサイドに流れてる弦楽小夜曲甘く切ない
075:肝  老いた身も土用の昼の肝吸いにやがて哀しく気をみなぎらす
076:虜  魅せられて君の虜になった日が七月六日と言う人がいて
077:フリー フリーズの対処としては唇の長押しによる強制開始
078:旗  入日さす豊旗雲の緋の色に心もえよと染められている
079:釈  毎日が何にもなくて過ぎていく会釈こぼして逢うはいつの日
080:大根  土落とす二股大根色っぽくその身を我は密かに撫でる
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081:臍  願わくば臍の下には知恵ないと気まま勝手を笑って許せ
082:棺  片足を入れた棺桶抜け出して最後の恋は死に物狂い
083:笠  涙ふき合羽からげた三度笠見送る影に未練が残る
084:剃  剃り跡に滑らす指がしなやかでやがて開いて濡れる唇
085:つまり 君が住む郷の垣内(かきつ)は幸多く水清くして魚(いを)あつまりぬ 
086:坊  逞しい暴れん坊が大好きと甘えん坊がいやいやをする
087:監  臍下の監督責任問う人の拗ねてる声が胸に甘える
088:宿  宿帳に妻と記すを覗き見て君はすましてつんつん突く
089:潮  風孕み八重の潮路をゆくような夢を抱いて君に会いたい
090:マジック 密やかにマジックミラー越しに見る君の半裸はとても艶やか
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091:盤  手を取れば切羽詰った盤面を好転させる一手が見える
092:非  苦しくも君との恋は非公開秘かなゆえの堅い契約
093:拍  競詠の百首に込める恋心成就目指して拍車をかける
094:操  真直ぐの思いの丈を確かめて操つりつられの道を一筋
095:生涯  生涯の最後の恋と誓っても君の移り気やはり心配
096:樽  にっこりと小さな角樽ぶら下げて祝いの刻(とき)に君が現る
097:停  危ないと停(とど)める言葉振り切って踏み入る道に光あふれる
098:覆  目を覆い手の感触に委ねてる声が愛しい夜もあったね
099:品  大切な遺品にすると仕舞われて埃をかぶる老いらくの恋
100:扉  逢坂の関の扉(せきのと)越えむ狂い咲く妖しい色の歌を連ねて
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完走報告 ようやくに百首完走しましたと報告できる喜びのとき
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# by asitanokumo | 2016-11-05 17:09 | 題詠まとめ

題詠blog2015の「まとめ」

今年は「題を初句(上五)に置いて男女交互(奇数番=男・偶数番=女)の一対の恋歌(相聞歌というより春歌?)に仕立てる」という条件で詠んでみました。
一応形だけは50組ができました。
歌物語になるようにストーリーを作ろうと考えて、一年の場面展開ができるかと四季を織り込んでみましたが、あまり上手くはいきませんでした。

歌の順の組み換えで物語になるでしょうか。途中から「春情」という題が浮かんでいました。


001:呼 呼ぶ声に知らん顔して床の中朝餉用意の音に香に酔う
002:急 大急ぎ朝餉の仕度終えた後あなたの横にまた潜り込む

003:要 要垣刈り込む春ののどけさよ萌えでた若芽つややかに散る
004:栄 栄映えに萌えた若芽は刈り取られ匂い放てば思い乱れる

005:中心 中心を見事に射抜く矢のような言葉をひとつ歌に詠みたい
006:婦 主婦という名を脱ぎ捨てて走らせる君の言葉をなおも求めて

007:度 感度よく応える君を撫であげて奏でる曲が夜に熔けいる
008:ジャム ジャムバンド楽しみながら盛り上がるふたり密かのひと夜の宴

009:異 異なことを言わずもがなと目隠しをさせて寄り添う夜の楽しみ
010:玉 お手玉を弄ぶかにあやつられ目隠し遊びに更けてゆく夜


011:怪 怪しげに振舞う訳を解き明かす君に秘密のビッグイベント
012:おろか おろかにも拗ねて怒った催春の企み甘く解き明かされる

013:刊 夕刊紙テロよりエロが大切と悟りを示しメールを誘う
014:込 申込み締め切りましたとそっけなく断り入れて携帯閉じる

015:衛 助兵衛と軽く呼ばれて振り返る締まりない顔人に見せたし
016:荒 手荒には扱わないと言われてもいじめて欲しいときはあったよ

017:画面 側画面描いて胸のシルエット殊更見せて気にする仕草
018:救 救世願う観音様を前にして祈るは君とのとわなるえにし

019:靴 靴を脱ぎ駆け出してゆく草原にふたりの笑う声が弾ける
020:亜 亜麻色の髪撫でていく薫る風ふたりで走る高原の朝

021:小 小雨降る海辺にふたり見つめ合う言葉少なの出会いの時を
022:砕 砕け散る白い波間に言葉消え指を絡めてただ見つめ合う

023:柱 琴柱立て奏でる指のしなやかな朧ろの影が浮かぶ春永
024:真 真木の戸を閉ざしたままに待ちいればうらむ心のありなしを知る

025:さらさら さらさらにその気はないといいながら目を潤ませて腕の絡まる
026:湿 湿り声漏らして拒むその裏で腕絡ませる卑怯な私

027:ダウン メルトダウンしても安全? 溶けてゆく心も身をも坩堝に溺れ
028:改 改札で待ち合わす時花盛り手を振る笑顔に駆け出していた

029:尺 尺八の首振る影が奏でゆく桜月夜の酔いに任せて
030:物 物語るふたりの過去も行く末も窓辺の月に輝いている

031:認 認め合い寄せる唇柔らかく融けゆく先に散る花の影
032:昏 昏冥に漂う恋の行く末を密かに語る唇は蜜

033:逸 淫逸の音響かせて動くもの滾る坩堝に溢れる思い
034:前 名前呼び手繰る思いが溢れくる熱きをなおも探り求めて

035:液 太液の芙蓉を映す水面(みなも)には波立つ雲の広がる見えて
036:バス カンバスに描く蓮花色付けて恋に狂うを何に例える

037:療 療養の湯船にふたり身を沈め至福の世界山峡(やまかい))の宿
038:読 読書する君に寄り添いひたりゆく至福の世界山峡に月

039:せっかく せっかくの誘い断るわけもなく喜び向かう桜咲く里 
040:清 清滝の桜訪ねる旅の宵二人を包み花吹雪舞う

041:扇 絵団扇の風の涼しい夏の宵愛の形を様々に見る
042:特 特上の技繰り出して打ち上がる花火の形様々に見て

043:旧 旧り増さるわが身をそそる雪の夜に延齢草の萎れ気味なる
044:らくだ 「らくだい!」とからかう雪の夜の更けていやふるほどに萎れ伏す竹

045:売 売れ残るものほど味は深まると安い姫松贖いし市
046:貨 アルミ貨の溜まった箱の両替で育つ若木を贖いし市

047:四国 四国へと飛びゆく空に雲豊かキラリ見えたる春惜しむ海
048:負 負うた子の指差す方に光る波春を惜しんで確かめる旅

049:尼 釈迦牟尼のてのひらに降る春の雪つもる思ひもやがて消えゆく
050:答 答にはならず涙で誤魔化すも積る思ひの消えぬ雪の夜

051:緯 日の緯(よこ)の麓に懸かる白い影腰折れの身が春惜しみゆく
052:サイト エキサイトして見るビデオ春惜しみ哀しく唄う腰折れの歌

053:腐 腐れ合う二人にも来るまたの春身を惜しみつつ散る花を見る
054:踵 踵返す花野の果ての枯野原萎れゆく身のゆく方に見え

055:夫 夫ある女の恋を歌いあげ燃える炎に身を任す君
056:リボン リボンの輪楽しみほどくプレゼント恋の炎の指に燃え立つ

057:析 透析の治療の如く我が胸の不純を浄化する術ありや
058:士 衛士の火の燃える如くに焦がす胸ものを思えば消す術はなし

059:税 恋の税課せられ嬉し身を責めてなずむ躰の蘇るを待つ
060:孔雀 大孔雀広げた羽根が鮮やかに恋を誘って弱気を払う

061:宗 孟宗を春の驟雨が濡らしゆき人偲ぶ身を風が吹き抜く
062:万年 万年青の実雨止むあとは艶やかに濡れた葉陰に雫光らす

063:丁 沈丁の香り漂う春の宵色めく髪に指さし入れる
064:裕 裕(ゆた)かなる心に触れて行く春を惜しむ宵闇香に包まれる

065:スロー スロープをゆるゆるくだる春の道白梅の枝塀越えて咲く
066:缶 缶コーヒー頬にあてればほの熱く梅探る日のベンチにふたり

067:府 都府楼の梅の便りに誘われて聞きに往こうか観音の声
068:煌 煌やかな音が観たいと誘われてゆけば二人を包む春の香

069:銅 銅羅の音の響く御寺に春浅く経読む僧の遠ざかる影
070:本 本堂の菩薩を前に極楽を説いて立ち去るうら若い僧

071:粉 火の粉舞い雄叫び響く火祭の燃え落つ時の美しき闇
072:諸 諸肌を晒し駆けゆく男の背松明揺れて火の粉が注ぐ

073:会場 会場をいでても冷めぬ昂ぶりに震えて寄せる身を抱きしめる
074:唾 唾溢れ舌からめるくるキス拒み胸にやさしく抱かれている

075:短 短めに髪刈ってみて男伊達逢いに行こうか耐えて忍ぶか
076:舎 校舎前咲き初める花眺めやり体いとえと優しい言葉

077:等 吾等みなまやかしの世を惑うゆえひとつの誠探り求める
078:ソース ソースパンことこと煮込み待つ時間育つ芳醇ひとつの誠

079:筆 紅筆の色を映して紅梅が鏡の奥で染まりゆく朝
080:標 道標(みちしるべ)さしてる先に紅白のおぼろにかすむ梅林を見る

081:付 付け下げの名古屋の帯をほどくとき盛りの花がとめどなく散る
082:佳 この佳き日二人で歩む道見えて祝いの花か散り敷かれゆく

083:憎 憎いほど痛む心が通い合う逢えないままの星合の夕
084:錦 綾錦七夕姫の逢う夜にふたりの未来夢に織ってた

085:化石 化石になるくらい強く抱き合い今夜の二人かたまっている
086:珠 擬宝珠を濡らした雨が通り過ぎ火照った肌を寄せ合うふたり

087:当 当尾(とおの)の道花の匂ひのする女(ひと)と巡る石仏九体の御寺
088:炭 炭焼きのけぶりが見えて山里は眠るがごとく鎮まっている

089:マーク キスマーク隠して帰りゆく人の言い訳聞いてみたい初旅
090:山 山里を巡った旅の言い訳に密かに選ぶ甘いお土産

091:略 略奪の果てに叶った愛ゆえに精尽きるまで燃えに燃えたい
092:徴 徴(はた)り攻められて靡いた身の歓喜命尽きるまで燃えに燃えたい

093:わざわざ わざわざのお出ましなればこの寒さ耐えて待ちいる地吹雪の駅
094:腹 腹の下さぐる指先冷たくも歓び待ちて地吹雪の夜

095:申 申祭過ぎて淋しい参道を二人で歩く探春の旅
096:賢 普賢象咲きて重たく散り敷いて過ぎた盛りをなお咲き誇る

097:騙 騙し絵の騙しの技に身を任せ夢の世界に遊ぶ春の夜
098:独 独鈷の湯訪ね燃え立つ春の旅夢の世界に遊ぶ伊豆の夜

099:聴 秋聴くと名づけた庵に行きあたる紅葉の道の園を訪ねて
100:願 願かけの結びて逢える宿の橋覆う紅葉をくぐりて渡る




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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:54 | 題詠まとめ

完走報告(横雲)

今年は「題を初句(上五)に置いて男女交互(奇数番=男・偶数番=女)の一対の恋歌(相聞歌というより春歌?)に仕立てる」という条件で詠んでみました。
一応形だけは50組ができました。
歌物語になるようにストーリーを作ろうと考えて、一年の場面展開ができるかと四季を織り込んでみましたが、あまり上手くはいきませんでした。

歌の順の組み換えで物語になるでしょうか。途中から「春情」という題が浮かんでいました。




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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:41 | 題詠blog2015

100:願(横雲)

願かけの結びて逢える宿の橋覆う紅葉をくぐりて渡る


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:29 | 題詠blog2015

099:聴(横雲)

秋聴くと名づけた庵に行きあたる紅葉の道の園を訪ねて


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:27 | 題詠blog2015

098:独(横雲)

独鈷の湯訪ね燃え立つ春の旅夢の世界に遊ぶ伊豆の夜


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:25 | 題詠blog2015

097:騙(横雲)

騙し絵の騙しの技に身を任せ夢の世界に遊ぶ春の夜


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:23 | 題詠blog2015

096:賢(横雲)

普賢象咲きて重たく散り敷いて過ぎた盛りをなお咲き誇る


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:21 | 題詠blog2015

095:申(横雲)

申祭過ぎて淋しい参道を二人で歩く探春の旅


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:19 | 題詠blog2015

094:腹(横雲)

腹の下さぐる指先冷たくも歓び待ちて地吹雪の夜


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:17 | 題詠blog2015

093:わざわざ(横雲)

わざわざのお出ましなればこの寒さ耐えて待ちいる地吹雪の駅


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:15 | 題詠blog2015

092:徴(横雲)

徴(はた)り攻められて靡いた身の歓喜命尽きるまで燃えに燃えたい


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:13 | 題詠blog2015

091:略(横雲)

略奪の果てに叶った愛ゆえに精尽きるまで燃えに燃えたい


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:11 | 題詠blog2015

090:山(横雲)

山里を巡った旅の言い訳に密かに選ぶ甘いお土産


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:07 | 題詠blog2015

089:マーク(横雲)

キスマーク隠して帰りゆく人の言い訳聞いてみたい初旅


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:05 | 題詠blog2015

088:炭(横雲)

炭焼きのけぶりが見えて山里は眠るがごとく鎮まっている


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:04 | 題詠blog2015

087:当(横雲)

当尾(とおの)の道花の匂ひのする女(ひと)と巡る石仏九体の御寺


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:02 | 題詠blog2015

086:珠(横雲)

擬宝珠を濡らした雨が通り過ぎ火照った肌を寄せ合うふたり


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# by asitanokumo | 2015-02-13 10:00 | 題詠blog2015

085:化石(横雲)

化石になるくらい強く抱き合い今夜の二人かたまっている


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# by asitanokumo | 2015-02-13 09:58 | 題詠blog2015

084:錦(横雲)

綾錦七夕姫の逢う夜にふたりの未来夢に織ってた


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# by asitanokumo | 2015-02-13 09:52 | 題詠blog2015

083:憎(横雲)

憎いほど痛む心が通い合う逢えないままの星合の夕


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# by asitanokumo | 2015-02-13 09:50 | 題詠blog2015

082:佳(横雲)

この佳き日二人で歩む道見えて祝いの花か散り敷かれゆく


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# by asitanokumo | 2015-02-13 09:48 | 題詠blog2015

081:付(横雲)

付け下げの名古屋の帯をほどくとき盛りの花がとめどなく散る


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# by asitanokumo | 2015-02-13 09:47 | 題詠blog2015

080:標(横雲)

道標(みちしるべ)さしてる先に紅白のおぼろにかすむ梅林を見る


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# by asitanokumo | 2015-02-12 21:43 | 題詠blog2015

079:筆(横雲)

紅筆の色を映して紅梅が鏡の奥で染まりゆく朝


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# by asitanokumo | 2015-02-12 21:41 | 題詠blog2015

078:ソース(横雲)

ソースパンことこと煮込み待つ時間育つ芳醇ひとつの誠


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# by asitanokumo | 2015-02-12 21:38 | 題詠blog2015