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「横雲」のやまとうた


by asitanokumo
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題詠blog2015の「まとめ」

今年は「題を初句(上五)に置いて男女交互(奇数番=男・偶数番=女)の一対の恋歌(相聞歌というより春歌?)に仕立てる」という条件で詠んでみました。
一応形だけは50組ができました。
歌物語になるようにストーリーを作ろうと考えて、一年の場面展開ができるかと四季を織り込んでみましたが、あまり上手くはいきませんでした。

歌の順の組み換えで物語になるでしょうか。途中から「春情」という題が浮かんでいました。


001:呼 呼ぶ声に知らん顔して床の中朝餉用意の音に香に酔う
002:急 大急ぎ朝餉の仕度終えた後あなたの横にまた潜り込む

003:要 要垣刈り込む春ののどけさよ萌えでた若芽つややかに散る
004:栄 栄映えに萌えた若芽は刈り取られ匂い放てば思い乱れる

005:中心 中心を見事に射抜く矢のような言葉をひとつ歌に詠みたい
006:婦 主婦という名を脱ぎ捨てて走らせる君の言葉をなおも求めて

007:度 感度よく応える君を撫であげて奏でる曲が夜に熔けいる
008:ジャム ジャムバンド楽しみながら盛り上がるふたり密かのひと夜の宴

009:異 異なことを言わずもがなと目隠しをさせて寄り添う夜の楽しみ
010:玉 お手玉を弄ぶかにあやつられ目隠し遊びに更けてゆく夜


011:怪 怪しげに振舞う訳を解き明かす君に秘密のビッグイベント
012:おろか おろかにも拗ねて怒った催春の企み甘く解き明かされる

013:刊 夕刊紙テロよりエロが大切と悟りを示しメールを誘う
014:込 申込み締め切りましたとそっけなく断り入れて携帯閉じる

015:衛 助兵衛と軽く呼ばれて振り返る締まりない顔人に見せたし
016:荒 手荒には扱わないと言われてもいじめて欲しいときはあったよ

017:画面 側画面描いて胸のシルエット殊更見せて気にする仕草
018:救 救世願う観音様を前にして祈るは君とのとわなるえにし

019:靴 靴を脱ぎ駆け出してゆく草原にふたりの笑う声が弾ける
020:亜 亜麻色の髪撫でていく薫る風ふたりで走る高原の朝

021:小 小雨降る海辺にふたり見つめ合う言葉少なの出会いの時を
022:砕 砕け散る白い波間に言葉消え指を絡めてただ見つめ合う

023:柱 琴柱立て奏でる指のしなやかな朧ろの影が浮かぶ春永
024:真 真木の戸を閉ざしたままに待ちいればうらむ心のありなしを知る

025:さらさら さらさらにその気はないといいながら目を潤ませて腕の絡まる
026:湿 湿り声漏らして拒むその裏で腕絡ませる卑怯な私

027:ダウン メルトダウンしても安全? 溶けてゆく心も身をも坩堝に溺れ
028:改 改札で待ち合わす時花盛り手を振る笑顔に駆け出していた

029:尺 尺八の首振る影が奏でゆく桜月夜の酔いに任せて
030:物 物語るふたりの過去も行く末も窓辺の月に輝いている

031:認 認め合い寄せる唇柔らかく融けゆく先に散る花の影
032:昏 昏冥に漂う恋の行く末を密かに語る唇は蜜

033:逸 淫逸の音響かせて動くもの滾る坩堝に溢れる思い
034:前 名前呼び手繰る思いが溢れくる熱きをなおも探り求めて

035:液 太液の芙蓉を映す水面(みなも)には波立つ雲の広がる見えて
036:バス カンバスに描く蓮花色付けて恋に狂うを何に例える

037:療 療養の湯船にふたり身を沈め至福の世界山峡(やまかい))の宿
038:読 読書する君に寄り添いひたりゆく至福の世界山峡に月

039:せっかく せっかくの誘い断るわけもなく喜び向かう桜咲く里 
040:清 清滝の桜訪ねる旅の宵二人を包み花吹雪舞う

041:扇 絵団扇の風の涼しい夏の宵愛の形を様々に見る
042:特 特上の技繰り出して打ち上がる花火の形様々に見て

043:旧 旧り増さるわが身をそそる雪の夜に延齢草の萎れ気味なる
044:らくだ 「らくだい!」とからかう雪の夜の更けていやふるほどに萎れ伏す竹

045:売 売れ残るものほど味は深まると安い姫松贖いし市
046:貨 アルミ貨の溜まった箱の両替で育つ若木を贖いし市

047:四国 四国へと飛びゆく空に雲豊かキラリ見えたる春惜しむ海
048:負 負うた子の指差す方に光る波春を惜しんで確かめる旅

049:尼 釈迦牟尼のてのひらに降る春の雪つもる思ひもやがて消えゆく
050:答 答にはならず涙で誤魔化すも積る思ひの消えぬ雪の夜

051:緯 日の緯(よこ)の麓に懸かる白い影腰折れの身が春惜しみゆく
052:サイト エキサイトして見るビデオ春惜しみ哀しく唄う腰折れの歌

053:腐 腐れ合う二人にも来るまたの春身を惜しみつつ散る花を見る
054:踵 踵返す花野の果ての枯野原萎れゆく身のゆく方に見え

055:夫 夫ある女の恋を歌いあげ燃える炎に身を任す君
056:リボン リボンの輪楽しみほどくプレゼント恋の炎の指に燃え立つ

057:析 透析の治療の如く我が胸の不純を浄化する術ありや
058:士 衛士の火の燃える如くに焦がす胸ものを思えば消す術はなし

059:税 恋の税課せられ嬉し身を責めてなずむ躰の蘇るを待つ
060:孔雀 大孔雀広げた羽根が鮮やかに恋を誘って弱気を払う

061:宗 孟宗を春の驟雨が濡らしゆき人偲ぶ身を風が吹き抜く
062:万年 万年青の実雨止むあとは艶やかに濡れた葉陰に雫光らす

063:丁 沈丁の香り漂う春の宵色めく髪に指さし入れる
064:裕 裕(ゆた)かなる心に触れて行く春を惜しむ宵闇香に包まれる

065:スロー スロープをゆるゆるくだる春の道白梅の枝塀越えて咲く
066:缶 缶コーヒー頬にあてればほの熱く梅探る日のベンチにふたり

067:府 都府楼の梅の便りに誘われて聞きに往こうか観音の声
068:煌 煌やかな音が観たいと誘われてゆけば二人を包む春の香

069:銅 銅羅の音の響く御寺に春浅く経読む僧の遠ざかる影
070:本 本堂の菩薩を前に極楽を説いて立ち去るうら若い僧

071:粉 火の粉舞い雄叫び響く火祭の燃え落つ時の美しき闇
072:諸 諸肌を晒し駆けゆく男の背松明揺れて火の粉が注ぐ

073:会場 会場をいでても冷めぬ昂ぶりに震えて寄せる身を抱きしめる
074:唾 唾溢れ舌からめるくるキス拒み胸にやさしく抱かれている

075:短 短めに髪刈ってみて男伊達逢いに行こうか耐えて忍ぶか
076:舎 校舎前咲き初める花眺めやり体いとえと優しい言葉

077:等 吾等みなまやかしの世を惑うゆえひとつの誠探り求める
078:ソース ソースパンことこと煮込み待つ時間育つ芳醇ひとつの誠

079:筆 紅筆の色を映して紅梅が鏡の奥で染まりゆく朝
080:標 道標(みちしるべ)さしてる先に紅白のおぼろにかすむ梅林を見る

081:付 付け下げの名古屋の帯をほどくとき盛りの花がとめどなく散る
082:佳 この佳き日二人で歩む道見えて祝いの花か散り敷かれゆく

083:憎 憎いほど痛む心が通い合う逢えないままの星合の夕
084:錦 綾錦七夕姫の逢う夜にふたりの未来夢に織ってた

085:化石 化石になるくらい強く抱き合い今夜の二人かたまっている
086:珠 擬宝珠を濡らした雨が通り過ぎ火照った肌を寄せ合うふたり

087:当 当尾(とおの)の道花の匂ひのする女(ひと)と巡る石仏九体の御寺
088:炭 炭焼きのけぶりが見えて山里は眠るがごとく鎮まっている

089:マーク キスマーク隠して帰りゆく人の言い訳聞いてみたい初旅
090:山 山里を巡った旅の言い訳に密かに選ぶ甘いお土産

091:略 略奪の果てに叶った愛ゆえに精尽きるまで燃えに燃えたい
092:徴 徴(はた)り攻められて靡いた身の歓喜命尽きるまで燃えに燃えたい

093:わざわざ わざわざのお出ましなればこの寒さ耐えて待ちいる地吹雪の駅
094:腹 腹の下さぐる指先冷たくも歓び待ちて地吹雪の夜

095:申 申祭過ぎて淋しい参道を二人で歩く探春の旅
096:賢 普賢象咲きて重たく散り敷いて過ぎた盛りをなお咲き誇る

097:騙 騙し絵の騙しの技に身を任せ夢の世界に遊ぶ春の夜
098:独 独鈷の湯訪ね燃え立つ春の旅夢の世界に遊ぶ伊豆の夜

099:聴 秋聴くと名づけた庵に行きあたる紅葉の道の園を訪ねて
100:願 願かけの結びて逢える宿の橋覆う紅葉をくぐりて渡る




by asitanokumo | 2015-02-13 10:54 | 題詠まとめ